セッション情報 一般演題

タイトル

ベバシズマブによる虫垂穿孔・創傷治癒遅延をきたした再発大腸癌の一例

演者 有山 寛(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学)
共同演者 隅田 幸佑(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 長崎 洋司(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 草場 仁志(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 馬場 英司(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 赤司 浩一(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学)
抄録 症例は57歳男性。2005年12月直腸癌に対し前方切除術施行。2008年5月傍大動脈リンパ節転移を認め、6月19日よりmFOLFOX6+ベバシズマブによる化学療法を受けていた。11月7日 11コース目投与。11月12日発熱・上腹部痛・嘔吐・下痢が出現し、感染性腸炎の診断にて入院。入院時腹膜刺激症状はなく、CTにて虫垂炎が疑われたが、抗生剤投与継続にて発熱・腹痛の改善を認め、またベバシズマブ投与直後であるため開腹手術は行わなかった。11月20日腹部症状消失し、解熱したため経口摂取開始。11月22日突然の強い腹痛を訴え、反跳圧痛を認めた。緊急CTにて虫垂の腫大・不明瞭化を認め、虫垂穿孔と診断。虫垂切除術、膿瘍ドレナージ、腹腔内洗浄術施行された。術後病理の結果では虫垂穿孔部へも腹膜播種を認めた。術後経過は良好で12月17日よりmFOLFOX6再開した。しかし抜糸後 創離解が進行しポケット形成したため、12月24日ポケット切開、デブリードマン施行。以後バック療法にて治癒傾向となり1月20日退院となった。ベバシズマブは切除不能進行・再発大腸癌に対する初回標準治療薬のひとつであり、広く一般に使用されている。一方頻度は低いが腸管穿孔や動脈血栓症など重篤な有害事象が知られている。本症例は化学療法前に腹膜播種は指摘されていなかったが、穿孔部に播種を認めた。ベバシズマブによる腸管穿孔に関しては原発巣残存・腹膜播種などのリスクが指摘されており、ベバシズマブ使用に際してリスクのある症例については注意深い観察が必要であると考えられた。
索引用語 ベバシズマブ, 腸管穿孔