セッション情報 研修医発表

タイトル

大腸内視鏡検査により発見された有茎性虫垂腺腫の1例

演者 川野 雄一朗(済生会熊本病院消化器病センター)
共同演者 吉田 健一(済生会熊本病院消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院消化器病センター), 藤本 貴久(済生会熊本病院消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院消化器病センター), 岡田 尚子(済生会熊本病院外科), 田中 秀幸(済生会熊本病院外科), 金光 敬一郎(済生会熊本病院外科), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院病理)
抄録 症例は60歳、男性。2008年8月に健診にてS状結腸までの大腸内視鏡検査を受けたところ、約10mmの大腸ポリープを指摘され、精査のため当科受診となった。大腸内視鏡検査を行ったところ、盲腸底部に虫垂内から突出する約4mm大の隆起性病変を認めた。病変は観察中に虫垂口の奥に戻り、生検は困難であった。表面は淡赤調の拡張した腺管構造を有し、腺腫が疑われた。生検目的で、後日再度内視鏡検査を行ったが、病変は同様に虫垂口部に認めるも、可動性が有り生検は今回も困難であった。注腸造影検査では、虫垂内の根部近くに約13mm大の可動性のある有茎性隆起病変を認めた。腹部エコーや腹部造影CT検査では、病変は描出困難であって、周囲のリンパ節腫大は認めなかった。以上から虫垂腺腫あるいは粘膜内にとどまる虫垂腺癌を疑い、今後虫垂炎を合併する可能性もあることから、同年12月に腹腔鏡下虫垂切除術を行った。切除標本上、病変は虫垂入口部から約1cmの部位に5x5mm大の有茎性腫瘍として認めた。病理組織学的結果は、軽度異型の管状腺腫の診断であった。虫垂腺腫は報告例が少なく、術前無症状で内視鏡的に発見されることはまれである。今回、我々は内視鏡的に認めた有茎性の虫垂腺腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
索引用語 虫垂腺腫, 有茎性腫瘍