セッション情報 一般演題

タイトル

7年の経過で肝脾に著明な結節形成をきたしたサルコイドーシスの1例

演者 田尻 博敬(飯塚病院 肝臓内科)
共同演者 崎山 裕美子(飯塚病院 肝臓内科), 矢田 雅佳(飯塚病院 肝臓内科), 本村 健太(飯塚病院 肝臓内科), 小柳 年正(飯塚病院 肝臓内科), 栗原 秀一(飯塚病院 病理科), 大屋 正文(飯塚病院 病理科), 増本 陽秀(飯塚病院 肝臓内科)
抄録 【症例】51歳女性。2002年3月、当院眼科にてぶどう膜炎、テント状の虹彩前癒着、隅角結節を指摘されサルコイドーシスが示唆された。同年4月、CTで縦隔リンパ節腫大と右肺上葉に多発性微細結節を認め、サルコイドーシスまたは肺結核が疑われた。短期間の抗結核剤投与を受けたが胸部陰影は不変であった。2008年11月、近医の腹部超音波検査で肝腫瘍が疑われ当科を紹介された。当科受診時WBC 3,760 /μl、Hb 13.7 g/dl、Plt 34.6万/μl、AST 28 IU/l、ALT 27 IU/l、ALP 579 IU/l、γ-GTP 175 IU/l、T-Bil 0.8 mg/dl、Alb 4.6 g/dl、アンギオテンシン転換酵素38.0(基準値 8.3~21.4)IU/l、PT 95 %、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性で、AFP、PIVKA-II、CEA、CA19-9は正常値であった。CTで肝脾に大小多数の低吸収域を認め、両肺に多発性粒状・斑状影がみられた。2002年のCT所見と比較すると、肝脾の結節は新たに出現し、肺野病変は増加増大していたが、縦隔リンパ節は縮小していた。他臓器の検索では心病変を認めず、眼病変は軽度の虹彩炎の所見であった。2008年12月、気管支鏡下肺生検を施行したが確定診断が得られず、2009年1月肝生検を施行した。その結果、門脈域および肝実質内に類上皮細胞性肉芽腫巣を認め、肉芽腫内にasteroid bodyを含む多核巨細胞を伴い、壊死巣はみられなかった。以上よりサルコイドーシスと診断した。【考察】サルコイドーシスは全身性肉芽腫性疾患であるが、肝脾に画像上顕著な結節像を認める症例は少なく、悪性腫瘍との鑑別も問題となる。今回、サルコイドーシスが示唆されて7年後に肝脾に著明な結節形成をきたし、肝生検で診断した1例を経験したので報告する。
索引用語 サルコイドーシス, 肝腫瘍