セッション情報 | 要望演題9 「B型肝炎治療の長期経過と問題点」 |
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タイトル | B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤の長期治療成績 |
演者 | 宮島 一郎(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門) |
共同演者 | 井出 達也(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 桑原 礼一郎(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 久原 孝一郎(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 緒方 啓(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 村島 史朗(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 有永 照子(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門) |
抄録 | 【目的】B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤の投与は、B型肝炎ウイルスの増殖を抑制し、生化学データの改善を認める。一方、問題点として耐性ウイルスの出現やこれに伴うbreakthrough hepatitisの発症がある。今回、我々はB型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤の長期治療成績について検討を行った。【方法】対象は、核酸アナログ製剤の投与期間が3年以上あり、核酸アナログ製剤の投与前に肝細胞癌(HCC)の合併を認めない75例で、男性45例、女性30例であった。平均年齢は54.8歳、肝硬変29例、慢性肝炎46例であった。【成績】ラミブジン(LAM)投与後、HBV DNAの持続陰性化を12例、LAM耐性ウイルスの出現を認めるもトランスアミナーゼ値の持続正常例を16例、LAM耐性ウイルスの出現に対しアデホビル(ADV)の併用を32例に行った。LAMの平均投与期間は5.8年、LAM耐性ウイルスの平均出現時期はLAM投与開始後1.8年、ADVの平均投与期間は3.1年であった。LAMからエンテカビル(ETV)への切り替えを15例に行った。LAM投与中にHBV DNAの陰性化を認めなかった5例をETVに切り替えたところ、1例にETV耐性を認め、LAMとADVの併用療法を行った。他の4例はHBV DNAの陰性化を認めた。LAMとADV併用療法を行うもHBV DNA量が2.6 log copy/ml以上を13例に認め、この内1例は、両剤に対する耐性ウイルスの出現を疑う症例であった。HBe抗原は34例が陽性であったが、LAM投与にて10例、ADVの併用にて8例、ETVへの切り替えにて2例は陰性化した。HCCの合併を8例に認めた。核酸アナログ製剤の投与後、平均4.2年で発症し、全例、背景肝は肝硬変であった。【結論】LAMとADVに対する耐性ウイルスの出現を疑わせる1例を認めたが、この症例以外の抗ウイルス効果は良好であった。肝硬変症においては、HCCの合併を認めるため注意が必要である。 |
索引用語 | B型肝炎, 核酸アナログ製剤 |