セッション情報 一般演題

タイトル

サイトメガロウイルス(CMV)感染が合併し治療が難渋した潰瘍性大腸炎の1例

演者 高橋 誠(原三信病院 消化器科)
共同演者 長田 美佳子(原三信病院 消化器科), 瀧澤 延喜(原三信病院 消化器科), 山田 隆史(原三信病院 消化器科), 中村 典資(原三信病院 消化器科), 松坂 浩史(原三信病院 消化器科), 山田 真梨子(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 中村 和彦(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 千々岩 芳春(原三信病院 消化器科)
抄録 症例は29歳,女性.主訴は発熱,腹痛と下痢.2008年12月30日より39度台の発熱を認め近医を受診し流行性耳下腺炎と診断.一旦は解熱傾向であったが,2009年1月4日頃より発熱,腹痛と下痢が出現.1月8日,症状が改善せず食事摂取が困難となり当科へ入院となった.下部消化管内視鏡検査にて上行結腸から直腸にかけて連続性に血管透見不良,小びらんが散在,特に下行結腸からS状結腸では全周性に浮腫状粘膜,びまん性小びらんに加え類円型の深掘れ潰瘍が多発していた.内視鏡検査所見より潰瘍性大腸炎およびサイトメガロウイルス(CMV)感染を疑うも,生検にてCMV核封入体は確認されず,CMV 抗原(C7-HRP),CMV-PCRも陰性であった.そのためメサラジン4000mg及びPSL60mgにて治療を開始し,解熱,炎症反応の改善を認めるも腹痛および下血(1日10回以上)が持続.1月27日より再度38度台の発熱,炎症反応の上昇が認められ,メサラジンの副作用が疑われたため内服を中止したところ解熱傾向,炎症反応の改善を認めたが,腹部症状,下血(1日10回以上)は持続.ステロイド抵抗性と診断しシクロスポリン持続静注療法や血球成分除去療法,外科的治療などが必要と考え,2月9日九州大学病院第三内科へ転院となった.転院後CMV感染に対し再度検査を行ったところ,CMV核封入体は確認されなかったが,CMV抗原(C7-HRP)陽性であったため,ガンシクロビル(500mg)投与及び血球除去療法が開始された.その後,解熱し腹部症状,下血の改善も認めた.初期検査にてサイトメガロウイルス(CMV)感染が確認できず治療に難渋し、後にサイトメガロウイル抗原が陽性と判明した潰瘍性大腸炎の1例を経験したので若干の考察を加えて発表する.
索引用語 潰瘍性大腸炎, サイトメガロウイルス感染