セッション情報 一般演題

タイトル

巨大な腫瘤を形成した小腸濾胞性リンパ腫の一例

演者 冬野 雄太(九州大学大学院 病態機能内科学)
共同演者 江崎 幹宏(九州大学大学院 病態機能内科学), 矢田 親一朗(九州大学大学院 病態機能内科学), 森山 智彦(九州大学大学院 病態機能内科学), 中村 昌太郎(九州大学大学院 病態機能内科学), 松本 主之(九州大学大学院 病態機能内科学), 難波江 俊永(九州大学大学院臨床腫瘍外科学), 藤田 恒平(九州大学大学院形態機能病理学), 平橋 美奈子(九州大学大学院形態機能病理学), 飯田 三雄(九州大学大学院 病態機能内科学)
抄録 症例は51歳女性。2008年5月頃より間欠的腹痛を自覚していた。同年10月に急激な腹痛が出現し、救急車で当院へ搬送となった。来院時、下腹部に著明な圧痛を認めた。CTで6cm大の小腸腫瘍および腸管の著明な浮腫を認め、小腸腫瘍による腸重積と診断し、同日緊急入院となった。発熱、盗汗、体重減少は認めず、絶食のみで腹痛は自然に改善した。小腸造影および経口・経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡検査で、骨盤内小腸に長径5.5cm大の管腔の約半周を占めるSMT様隆起を認めた。また、腫瘤の口側には無数のリンパ濾胞様小隆起を認めた。小隆起は十二指腸下行脚から終末回腸まで認め、胃・大腸にはみられなかった。病変からの生検では、いずれもCD10およびBCL2陽性の中型異型リンパ球の浸潤を認め、grade1-2の濾胞性リンパ腫と診断した。FDG-PETでは小腸腫瘤に加え、腸間膜リンパ節に異常集積を認めた。骨髄穿刺では異常を認めず、小腸部分切除術を施行した。術中所見で腹壁浸潤を認め、腹水細胞診でリンパ腫細胞陽性であり、Lugano分類による臨床病期はStageIIEであった。切除標本の組織学的検査の結果、腫瘤は一部にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を伴うgrade3の濾胞性リンパ腫であった。術後6コースのR-CHOP療法を施行し、完全寛解が得られた。近年、小腸濾胞性リンパ腫の報告が増加しているが、そのほとんどは顆粒状ないし多発小隆起から成るMLP (multiple lymphomatous polyposis)を呈するとされ、巨大な腫瘤を形成した小腸濾胞性リンパ腫はまれと考えられる。若干の文献的考察を加え、報告する。
索引用語 濾胞性リンパ腫, 小腸腫瘍