セッション情報 一般演題

タイトル

G-CSF高値を示し腫瘍随伴症候群を合併した上部消化管癌の2例  

演者 佛坂 学(福岡大学 医学部 消化器内科)
共同演者 青柳 邦彦(福岡大学 医学部 消化器内科), 渡邉 隆(福岡大学 医学部 消化器内科), 廣瀬 統(福岡大学 医学部 消化器内科), 冨岡 禎隆(福岡大学 医学部 消化器内科), 藤田 英治(福岡大学 医学部 消化器内科), 坂 暁子(福岡大学 医学部 消化器内科), 池田 憲治(福岡大学 医学部 消化器内科), 山口 真三志(福岡大学 医学部 消化器内科), 江口 浩一(福岡大学 医学部 消化器内科), 志賀 洋(福岡大学 医学部 消化器内科), 縄田 智子(福岡大学 医学部 消化器内科), 二村 聡(福岡大学 医学部 病理学講座), 向坂 彰太郎(福岡大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例1は、60歳代の男性。主訴は微熱、易疲労感および体重減少。上部消化管内視鏡検査にて、胃体中部大彎~前庭部大彎に粘膜下腫瘍様形態を示す不整形陥凹性病変を認め、生検で高分化型腺癌と診断された。CTおよびUS検査にて腹腔内リンパ節および転移性多発肝腫瘍を認めた。また、明らかな感染巣を認めないにもかかわらず、血液検査にて著明な白血球増加(41,100/μl,好酸球29.5%)を認めた。腫瘍随伴症候群を疑い血清G-CSFを測定したところ、著明高値(323 pg/ml、基準値30以下) であった。進行度stage IVのため化学療法 (TS-1+CDDP)を行い、2ヶ月後の胃腫瘍サイズに変化なかったものの、肝転移巣の縮小とともに血清G-CSFの低下(196 pg/ml)と白血球数の低下(26,900/μl)を認めた。症例2は、70歳代の男性。主訴は胸部つかえ感。常習飲酒家で喫煙歴あり。上部消化管内視鏡検査にて、下部食道に基部を有し管腔軸に伸びる長径7cmの巨大腫瘍を認め、生検組織で癌肉腫と診断された。血液検査にて白血球数増加(29,000/μl)、血清G-CSF高値(272 pg/ml)を認めた。進行度stage II(T2N1M0)であったため、外科的切除を施行し、病理組織で真性癌肉腫と診断された。切除3ヶ月後には血清G-CSFの低下(19.5 pg/ml以下)と白血球数の減少(6,300/μl)を認めた。G-CSF高値の要因として、G-CSF産生腫瘍からの放出、または癌免疫に関与する炎症細胞からG-CSF分泌が考えられている。2症例とも、治療にてG-CSFの低下を認めたものの、免疫染色での腫瘍細胞からの産生を証明はできなかった。比較的まれなG-CSF高値を示し腫瘍随伴症候群を合併した食道癌肉腫と胃癌を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 腫瘍随伴症候群, G-CSF産生腫瘍