共同演者 |
田浦 直太(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 本吉 康英(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 福田 慎一郎(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 西川 晃子(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), はい 成寛(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 立山 雅邦(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 長岡 進也(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 柳 謙二(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 阿比留 正剛(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 矢野 公士(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 小森 敦正(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 吉田 真一郎(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター内科), 右田 清志(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 八橋 弘(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科), 石橋 大海(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター消化器内科) |
抄録 |
閉塞性黄疸を契機に発見された自己免疫性膵炎(AIP)の経過中に、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を併発した1例を報告する。症例は60歳女性、アルコール摂取歴はなく、肝機能異常の既往なし。2009年1月、眼球黄染を主訴に近医を受診。血液検査でT-bil 7.7mg/dl, AST 237IU/l, ALT 201IU/l, ALP 1256IU/l, γ-GTP 478IU/lと肝機能異常を認め, 当院紹介入院となった。造影CTにて膵全体に均一な腫大、肝内胆管・総胆管拡張および膵内胆管の狭窄が認められた。腫瘍性病変は指摘されなかった。MRCPでも同様の所見を認め、主膵管の狭細像も疑われた。血液検査では膵アミラーゼの上昇は認めなかった。血清ではIgG 1760mg/dl、IgG4 185mg/dlと軽度上昇、ANAは640倍と顕著な上昇を示し、AIPが疑われた。炎症反応上昇と胆管拡張、肝機能異常から閉塞性胆管炎を併発していると考え、内視鏡的胆道ドレナージ実施。狭窄はスムーズな紡錘状狭窄であり、良性狭窄と思われた。チューブステント留置により黄疸は軽減し胆管拡張は改善したにも関わらず、抗生剤無効な38度台の発熱が持続し急速に貧血が進行した。各種検査にて感染は否定的であり、出血性病変も認めなかった。直接クームス、間接クームスは共に陽性で、網赤血球は113.4‰であった。AIHAと診断し、プレドニゾロン40mgの投与を開始したところ発熱・貧血は改善し、同時に膵腫大の改善も認めた。AIPにAIHAを合併した報告例は過去に3例と稀であり、本症例は臨床的に貴重な症例と考えたため報告する。 |