セッション情報 |
研修医発表
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タイトル |
Docetaxel+TS-1併用療法が著効し根治術可能となった腹膜播種を伴う進行胃癌の一例
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演者 |
坂田 和也(熊本大学 消化器外科) |
共同演者 |
岩上 志朗(熊本大学 消化器外科), 池田 貯(熊本大学 消化器外科), 林 尚子(熊本大学 消化器外科), 渡邊 雅之(熊本大学 消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大学 消化器外科) |
抄録 |
症例は59歳の男性。平成20年5月、3ヶ月間で10kgの体重減少を主訴に近医を受診した。上部消化管内視鏡検査にて胃体上部後壁に3型胃癌(tub2)を認め、精査加療目的にて当院へ紹介受診となった。術前精査にてMU領域の 3型胃癌、 T2(SS)N1H0P0M0 cStageIIと診断された。6月、胃全摘術予定で開腹した。深達度はSEであり、腹腔内に広範に腹膜播種を認め、また術中腹水細胞診も陽性であった。通過障害、出血などの症状を認めていないことより試験開腹のみで手術を終了した。術後診断はT3NXH0P1CY1M0 sStageIVであった。術後よりDocetaxel+TS-1療法(TS-1 80mg/m2 2週投薬1週休薬、Docetaxel 40 mg/m2 day1)を開始し、計10コースを施行した。化学療法後の上部消化管内視鏡検査では腫瘍縮小を認め、潰瘍は再生上皮で覆われており、送気による壁伸展も良好となった。腹部CTでは小弯リンパ節はSDであったが、新たな転移の出現は認めなかった。以上の経過より初回手術から9ヵ月後に再手術の方針となった。まず、審査腹腔鏡を行なったが腹腔内に明らかな腹膜播種は認めず、また、腹水細胞診も陰性であったため、胃全摘術、D2郭清、Roux en Y再建を施行した。術後診断はT1(SM)N2H0P0CY0M0 sStageIIであった。病理は現在検索中であるが、リンパ節への転移は認めなかった。 現在、腹膜播種を伴う進行胃癌に対し、確立した治療法は存在しない。しかしながら、本症例のように化学療法が著効し、根治術が可能となる症例もある。今後は化学療法の進歩による切除不能進行胃癌における治療成績の向上に期待したい。 |
索引用語 |
胃癌, 腹膜播種 |