セッション情報 | 研修医発表 |
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タイトル | 術前肝動脈化学塞栓療法を併施した門脈塞栓術により、著名な塞栓葉の梗塞と非塞栓葉の肥大が得られた一例 |
演者 | 原田 和則(熊本大学大学院 消化器外科学) |
共同演者 | 岡部 弘尚(熊本大学大学院 消化器外科学), 別府 透(熊本大学大学院 消化器外科学), 小森 宏之(熊本大学大学院 消化器外科学), 増田 稔郎(熊本大学大学院 消化器外科学), 林 洋光(熊本大学大学院 消化器外科学), 太田尾 龍(熊本大学大学院 消化器外科学), ハスタ ホルラッド(熊本大学大学院 消化器外科学), 堀野 敬(熊本大学大学院 消化器外科学), 高森 啓史(熊本大学大学院 消化器外科学), 馬場 秀夫(熊本大学大学院 消化器外科学) |
抄録 | 46歳男性、B型慢性肝炎および2年前、肝細胞癌に対する肝S5部分切除術の既往歴有り。肝S8に多発再発病変を認め、肝動脈化学塞栓療法(TACE)を施行した。左肝に病変を認めず、1ヵ月後に右肝切除を目的とした経皮経肝門脈塞栓術(PTPE)を施行した。施行後1日目総ビリルビン1.9 mg/dl、2日目AST 2366 IU/L、ALT 5031IU/Lと上昇を認め、CTにて後区域を主体とした広範な肝梗塞を認めた。抗菌薬投与、肝庇護療法を行い、徐々に改善した。肝機能はPTPE前 ICG 15分値 4.5%から12.8%へと軽度増悪し、アシアロ肝シンチグラフィー LHL15 は0.94から0.95へと変化を認めなかった。CT volumetryによる肝切除率の変化は、PTPE前53.3%からPTPE後(2ヵ月後)28.4%へと低下し、アシアロSPECTを用いた機能的切除率は56.4%から13.5%へと著明に低下した。PTPE施行後60日目に右肝切除術+S4ラジオ波凝固療法を施行し、術後経過は良好であった。左肝volumeの推移はPTPE前555mlから手術前776ml(14%増)、手術後7日目896ml(16%)、手術後120日目864ml(15.6%)と肝切除後も若干の残肝の肥大を認めた。肝切除における門脈塞栓術の有効性は確立したものとなっているが、近年TACEとの併用の有効性が報告されている。今回のPTPE後の肝梗塞は肝機能が良好であったため、重篤な合併症に至らなかったと考えられるが、肝予備能の低下症例ではTACE後のPTPEには注意が必要である。一方、肝予備能の良好な症例ではPTPEにTACEを併用することで切除肝の塞栓をより強固に行うことが可能となり、肝再生が促進される可能性がある。 |
索引用語 | 経皮経肝門脈塞栓術, 肝動脈化学塞栓療法 |