セッション情報 一般演題

タイトル

非典型的内視鏡所見を示した重症潰瘍性大腸炎の一例

演者 芦塚 伸也(宮崎大学 医学部 第一内科)
共同演者 彦坂 ともみ(宮崎大学 医学部 第一内科), 星子 新理(宮崎大学 医学部 第一内科), 松本 英丈(宮崎大学 医学部 第一内科), 早稲田 文子(宮崎大学 医学部 第一内科), 中島 孝治(宮崎大学 医学部 第一内科), 押川 勝太郎(宮崎大学 医学部 第一内科), 稲津 東彦(宮崎大学 医学部 第一内科), 北村 和雄(宮崎大学 医学部 第一内科), 早川 彰一郎(宮崎大学 医学部 第一外科), 池田 拓人(宮崎大学 医学部 第一外科), 佛坂 正幸(宮崎大学 医学部 第一外科), 千々岩 一男(宮崎大学 医学部 第一外科)
抄録 57歳、女性。生来健康であったが、2007年12月中旬より4回/日の下痢、倦怠感が出現した。2008年2月中旬より39度台の発熱、食欲不振、体重減少を認め、下痢回数が増加し(20回以上/日)、血便を伴うようになったため近医を受診した。大腸内視鏡検査で重症感染性腸炎を疑われ、2008年2月29日に当科紹介入院となった。 当科における大腸内視鏡検査では、下行結腸から盲腸まで全周性・連続性に深掘れ潰瘍、浮腫、発赤が連続していた。S状結腸は軽度発赤程度で、直腸は血管透見性も保たれ正常外観であった。深部大腸優位の大腸炎であることから感染性腸炎を疑い、抗生剤投与を行ったが症状が改善しなかった。3月25日の大腸内視鏡検査で直腸病変が出現し、深掘れ潰瘍と粘膜下組織の壊死脱落を認めた。組織検査で活動性潰瘍性大腸炎に合致した所見が得られ、非典型例UC(rectal sparing)と診断し、ステロイド強力静注療法およびLCAPを施行した。その後、若干の臨床症状の改善を認めたが、内視鏡所見の改善は乏しく、ステロイド抵抗性と判断した。全身状態も徐々に悪化傾向を示し、内科的加療は限界と考え、2008年5月22日、当院第一外科において結腸亜全的術を施行した(3期分割手術、第1期)。摘出結腸の病理組織学的診断は活動性潰瘍性大腸炎であった。2009年1月29日のフォローアップ内視鏡では、残存直腸は全周性・連続性の粗造粘膜を呈し、潰瘍性大腸炎に典型的な所見となっていた。潰瘍性大腸炎は、通常直腸から口側に向けて連続性に炎症所見が認められるが、稀に直腸の粘膜変化に乏しい症例が存在する。今回、我々は発症3ヶ月後に直腸病変が顕在化した重症潰瘍性大腸炎で、外科治療が必要となった症例を経験したため、考察を加えて報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 非典型例