セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 経カテーテル動脈塞栓術にて止血しえた大腸憩室出血の1例 |
演者 | 八板 弘樹(新日鐵八幡記念病院 消化器科) |
共同演者 | 中村 滋郎(新日鐵八幡記念病院 消化器科), 梶原 英二(新日鐵八幡記念病院 消化器科), 鎌田 宏二(同病院 放射線科), 広田 千治(ひろた消化器科内科クリニック), 松本 主之(九州大学大学院病態機能内科学), 飯田 三雄(九州大学大学院病態機能内科学) |
抄録 | 症例は78歳女性。抗凝固薬、NSAIDsの内服はなかった。7月15日に鮮血下血を主訴に前医を受診。腹痛なく、直腸・肛門部に異常を認められなかったため、前医で7月17日に全大腸内視鏡検査を施行。上行・S状結腸憩室が多発しており、上行結腸の憩室の一つに凝血塊の付着を認めたため、同部をクリッピングにて止血した。20日再度下血を認めたため、当科を紹介受診し入院となった。22日に大腸内視鏡検査を施行するも、活動性の出血を認めず、残存クリップ周囲に追加クリッピングを施行し終了した。翌日に再度下血を認め、腹部造影CTを施行するも、造影剤の腸管内流出の所見ははっきりしなかった。その後絶食、点滴加療で経過観察していたところ、再び25日に下血を認めたため、緊急で大腸内視鏡検査を施行した。上行結腸の残存クリップ近傍の憩室に対して内視鏡的に吸引を行ったところ、出血を認めクリッピングを行った。その後数日下血を認めなかったが、29日に再度下血を認めたため、これ以上の内視鏡的止血術は困難と判断し、30日に血管造影を施行した。造影では腸管内への造影剤漏出は認めなかったが、上行結腸に残存するクリップに向かう動脈をコイル塞栓した。その後、再出血なく経過し、軽快退院となり、退院後も出血なく経過している。本邦では欧米と比較して大腸憩室の発生頻度は低いとされてきたが、人口の高齢化や食生活の欧米化に伴い近年は増加傾向にある。欧米と比較して憩室出血の頻度は低いが、大腸憩室症例の増加に伴い合併症である憩室出血に遭遇する機会は増加してくると考えられる。今回我々は止血に難渋し、経カテーテル動脈塞栓術にて止血しえた大腸憩室出血の1例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 大腸憩室出血, 経カテーテル動脈塞栓術 |