セッション情報 一般演題

タイトル

粘液性嚢胞性腫瘍(MCN)の1切除例

演者 深堀 理(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
共同演者 石田 祐介(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 岡部 義信(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 加治 亮平(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 安元 真希子(久留米大学 医学部 病理学講座), 勝本 充(久留米大学 医学部 外科学講座), 御鍵 和弘(久留米大学 医学部 外科学講座), 塩田 浩二(久留米大学 医学部 外科学講座), 緒方 俊郎(久留米大学 医学部 外科学講座), 木下 壽文(久留米大学 医学部 外科学講座), 鶴田 修(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
抄録 症例は44歳、女性。2008年10月の検診目的の腹部USにて膵体部に嚢胞性病変を指摘され、当院紹介受診となった。EUSでは周囲と境界明瞭で辺縁整な類円形の嚢胞性病変として認められ、内部に多数の隔壁を有するいわゆるcyst in cystとして描出された。内部は均一なエコー輝度を呈し、壁在結節や明らかな壁肥厚は認めなかった。CT所見では辺縁整な多房性嚢胞性腫瘤として描出され、隔壁の一部に小石灰化が認められ、一部壁肥厚として描出された。MRI T1-WIでは一部淡い高信号域を含む低信号域として描出され、T2-WIではやや不均一であるが全体に高信号域として描出された。被膜および隔壁構造はT2-WIにて低信号に描出され、明らかな充実部や壁肥厚は認めなかった。膵体尾部は萎縮しており末梢で一部軽度の主膵管拡張を認めるが、嚢胞と膵管との交通ははっきりしなかった。ERP所見では乳頭の開大なく、嚢胞より乳頭側の主膵管の拡張も認めなかった。膵体部で造影剤の圧入を行うと嚢胞内へ漏出するように造影剤が流入し、内部は不均一に造影された。また周囲の分枝膵管の圧排所見も認められ、嚢胞より尾側の主膵管は軽度拡張していた。嚢胞内容液の細胞診で悪性細胞は検出されず、画像所見から粘液性嚢胞腫瘍(MCN)が最も疑われた。血管造影では脾動静脈に圧排所見を認めたが、明らかな浸潤は見られなかった。以上の診断より切除適応と判断し、十分なインフォームドコンセントのうえ脾温存膵体尾部切除術を施行された。摘出病理肉眼所見では割面に厚い被膜を有する多房性嚢胞が認められ、粘液性の内容液が見られた。組織学的には間質にovarian-like stromaを認めMCNと診断されたが、嚢胞壁を裏打ちする細胞の一部に異型を有する細胞が見られborder line malignancyと考えられた。MCNの1切除例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 嚢胞性膵腫瘍, 粘液性嚢胞腫瘍