セッション情報 一般演題

タイトル

膨張性発育を呈したTS4膵腺房細胞癌の一例

演者 隈本 朝子(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
共同演者 石田 祐介(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 岡部 義信(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 加治 亮平(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 安元 真希子(久留米大学 医学部 病理学講座), 勝本 充(久留米大学 医学部 外科学講座), 御鍵 和弘(久留米大学 医学部 外科学講座), 川原 隆一(久留米大学 医学部 外科学講座), 木下 壽文(久留米大学 医学部 外科学講座), 鶴田 修(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
抄録 症例は76歳男性。食欲不振を主訴に、近医で施行した腹部USにて膵頭部に腫瘍性病変を指摘され精査目的に当科紹介受診となった。腹部CTでは膵頭部より体部にかけて100mm大の腫瘍性病変を認め、尾側の主膵管拡張と膵の萎縮が見られた。腫瘍内部には嚢胞性変化を疑う大小不同の低吸収域と造影後期で淡い造影効果を有する充実成分が認められた。また腫瘍は十二指腸および肝外胆管を圧排し、上流胆管の拡張を認めた。腹部MRIでは、腫瘍内部の嚢胞成分に出血を疑う鏡面形成が見られた。血管造影では膵頭部に一致してavascular areaを伴うtumor stainが認められたが、周囲の大血管は圧排性所見のみで明らかな脈管浸潤は見られなかった。腫瘍が十二指腸内腔に露出していたためERCPは不能であったが、同部の免疫染色含む生検診断で腺房細胞癌の疑いだった。以上の所見より切除可能な膵腺房細胞癌と診断し、十分なインフォームドコンセントを得たうえ膵頭十二指腸切除術を行った。術中の所見では腫瘍は膨張性発育を呈しており、周囲大血管への浸潤は認められなかった。摘出病理肉眼所見では厚い被膜に覆われ膵外への浸潤は認められず、割面では中心部に嚢胞状の出血壊死が見られた。組織学的には強い核異型を有する類円形の腫瘍細胞が、腺房様構造や拡張した腺管構造を呈しながら増殖していた。免疫染色ではEMA(+), PAS(+), Chromogranin A(-), Synaptophysin(-), CD56(-), Vimentin(-)であり、HE所見とあわせ膵腺房細胞癌(T2N0M0)と診断された。100mm大と比較的大きかったが、周囲浸潤は少なく膨張性発育を呈した膵腺房細胞癌の1例を経験した。若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 膵腫瘍, 腺房細胞癌