| セッション情報 | シンポジウム 「ESDの治療成績向上をめざして」 |
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| タイトル | 当院における早期胃癌ESDの治療成績及び切除困難例の検討と工夫 |
| 演者 | 原口 和大(済生会福岡総合病院 内科) |
| 共同演者 | 落合 利彰(済生会福岡総合病院 内科), 吉村 大輔(済生会福岡総合病院 内科), 淀江 賢太郎(済生会福岡総合病院 内科), 壁村 哲平(済生会福岡総合病院 内科), 中島 明彦(済生会福岡総合病院 病理), 中村 和彦(九州大学病院病態制御内科学) |
| 抄録 | 【背景】 当院では2003年4月から早期胃癌に対する内視鏡的治療としてESDを本格的に導入し、2009年3月までに250例余りの症例を経験した。現在では術者の手技もほぼ確立されてきているが、依然としてガイドライン適応内病変でも治療困難部位の病変や広範囲、潰瘍合併などの適応拡大病変については治療に難渋している。今回、手技技術が比較的安定したと考えられる最近3年間の当院での治療成績をもとに、切除困難例及び非治癒切除例についての検討を行った。【対象と方法】 2006年4月から2009年3月までの3年間に当院にてESDを施行した早期胃癌151病変147症例を対象とした。その内訳は、ガイドライン適応内病変; 88病変、適応拡大病変; 43病変、適応外病変; 20病変であり、1) 適応度別の完全一括切除率、2) 適応内、適応拡大病変で切除断端陽性となった要因、3)切除困難例に対する工夫について検討した。【結果】 適応内病変、適応拡大病変の完全一括切除率はそれぞれ97.7%(86/88)、81.4%(35/43)であった。また適応外病変では、50.0%(10/20)であった。適応内病変、適応外病変で切除断端陽性となった計10例の要因を検証したところ、適応内病変では、U領域などのいわゆる治療困難部位であったことや不十分な切除範囲設定が要因として挙げられた。適応拡大病変では、広い切除範囲を必要とするも切除範囲設定不十分であったり、UM領域の病変においては強固な線維化や頻回の術中出血のため病変に切れ込み、側方断端陽性となる例が目立った。【考察】 早期胃癌におけるESDの治療成績向上のためには、拡大観察やEUSなどの補助診断を活用し、より正確な範囲診断、深達度診断を行うことにより、適応外病変をより確実に除外する必要がある。また治療困難部位や潰瘍瘢痕合併例などの切除困難例においては、病変の部位や状況に応じ、適切な処置具や内視鏡機材の選択を行うことが重要であると考えられた。 |
| 索引用語 | 早期胃癌, ESD |