セッション情報 要望演題10 「門脈圧亢進症治療の新たな展開」

タイトル

門脈圧亢進症に対する腹腔鏡下脾臟摘出術を中心とした集学的治療

演者 赤星 朋比古(九州大学消化器・総合外科)
共同演者 富川 盛雅(九州大学 未来医用情報応用学講座), 金城 直(九州大学消化器・総合外科), 長尾 吉泰(九州大学消化器・総合外科), 上原 英雄(九州大学消化器・総合外科), 橋本 直隆(九州大学消化器・総合外科), 小西 晃造(九州大学 災害救急医学), 橋爪 誠(九州大学 災害救急医学), 前原 喜彦(九州大学 災害救急医学)
抄録 九州大学消化器・総合外科における門脈圧亢進症の治療は、1980年前半までは選択的シャント手術などの外科的治療が中心であったが、それ以後はEISやEVLなどの内視鏡的治療が中心となり、現在まで約2600例を超す内視鏡的治療症例を経験している。胃静脈瘤に対してはHassab手術により10年累積非出血率100%と非常に有効であることを報告してきたが、1994年以降は胃静脈瘤に対しては主にB-RTOを行なっており、症例数も200例に達しており、予防症例においては5年の累積非出血率100%、急性、待機例においては5年累積非出血率97%と良好な成績である。このように、内視鏡治療およびIVRの発達により、静脈瘤出血は非手術下でもコントロール可能な時代となっている。よって、今後は、門脈圧亢進症の原因に関する根本的なアプローチも必要になってくるものと考えられる。当科では1998年より門脈圧亢進症あるいは肝硬変症に対する腹腔鏡下脾臓摘出術を305例に施行しているが、汎血球減少を改善するだけでなく肝機能も改善させることがわかっている。またC型肝硬変患者においては、脾摘により血球減少の妨げなくインターフェロン治療が可能になることから肝硬変の進行および門脈圧亢進症症状の改善が期待できる。最近では、胃静脈瘤に対してはHassab手術と同等の効果かつ低侵襲な治療を目指してB-RTO先行腹腔鏡下脾臓摘出術や腹腔鏡下(ハンドアシスト法による)Hassab手術を考案し施行している。以上のように、当科における食道胃静脈瘤治療では、門亢症の原因を常に視野にいれながら、内視鏡的治療、薬物療法、B-RTO、腹腔鏡下脾摘術、ウイルス肝炎治療を組み合わせた集学的治療を行っているので報告する。
索引用語 門脈圧亢進症, 脾臓摘出術