セッション情報 一般演題

タイトル

AFP産生胃癌術後肝転移に対する集学的治療により長期生存を得た一例

演者 黒木 秀幸(熊本大学大学院消化器外科)
共同演者 堀野 敬(熊本大学大学院消化器外科), 岩槻 政晃(熊本大学大学院消化器外科), 三輪 徹(熊本大学大学院消化器外科), 陶山 浩一(熊本大学大学院消化器外科), 工藤 啓介(熊本大学大学院消化器外科), 崔 林承(熊本大学大学院消化器外科), 小森 宏之(熊本大学大学院消化器外科), 別府 透(熊本大学大学院消化器外科), 澤田 俊彦(熊本消化器外科・村本病院), 馬場 秀夫(熊本大学大学院消化器外科)
抄録 AFP 産生胃癌は早期に肝転移を起こし、予後不良とされている。化学療法、ラジオ波凝固療法、肝切除術による集学的な治療により長期生存を得た症例を報告する。症例は82歳、男性。前医にて、平成16年8月、胃前庭部前壁側の3型胃癌に対し、幽門側胃切除術を施行される。組織学的にはAFP産生腫瘍 ( T2(ss) , N2(4/12) , M0 , P0 , H0 , ly3 , v3 )の診断であった。術後補助化学療法としてTS-1の内服を施行されたが、同年10月、S6に肝転移をきたし、ラジオ波凝固療法を施行された。化学療法としてCDDP+CPT11に変更し、1年4ヶ月のdisease free intervalを得た。平成18年2月、肝S2に肝転移を来たし、外側区域切除術を施行された。同年8月 、術後4.6ng/mlまで低下していたAFPが40.7ng/mlへと再度上昇し、精査の結果、S8に径1.6cm大の肝転移を認めたため、当科紹介となった。他に病変を認めないこと、年齢を考慮し、平成18年9月6日、胸腔鏡下ラジオ波凝固を行った。胸腔鏡下に内視鏡エコーを用いて、S8ドーム下に1.3×0.8cmのlow echoic massを肝表に描出した。横隔膜を切開し、直視下に腫瘍を観察し、3回のラジオ波凝固を行った。右胸腔ドレーンを留置し、手術を終了した。この際、生検を行ったが、組織診ではN/C比の高く、大小不同のある胞巣充実性に増殖する腫瘍細胞を認め、胞体は明調で、軽度の好酸性を認めた。免疫染色では腫瘍細胞の一部でAFP陽性であり、幽門側胃切除術、肝外側域切除で得られた標本と類似の所見であった。術後経過は良好で術後6日目に退院。術後19日目、AFPは12.1 ng/mlへ減少した。初回肝転移治療後、4年5カ月経過したが、無再発生存中である。肝転移に至ったAFP産生胃癌症例でも肝切除術、ラジオ波凝固療法および化学療法による集学的治療によって長期生存が得られた症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 AFP産生胃癌, 肝転移