セッション情報 一般演題

タイトル

腹腔鏡下大腸切除における術中ナビゲーションの有用性

演者 神代 竜一(九州大学大学院消化器・総合外科)
共同演者 小西 晃造(九州大学大学院消化器・総合外科DELIMITER未来医用情報応用学), 掛地 吉弘(九州大学大学院消化器・総合外科), 森田 勝(九州大学大学院消化器・総合外科), 田上 和夫(先端医工学診療部), 橋爪 誠(先端医工学診療部), 前原 喜彦(九州大学大学院消化器・総合外科)
抄録 【背景】腹腔鏡下手術はトロカーを介して手術を行うために、術中に取得できる情報が制限されている。近年大腸癌に対する腹腔鏡下手術症例が増加に伴い、合併症として尿管損傷の報告が散見される。【目的】腹腔鏡下大腸手術の安全性を向上させる目的で術中ナビゲーションシステムを開発し、臨床応用しているのでその有用性を検討する。【対象】腹腔鏡下大腸切除術の適応症例10例に応用し、術中ナビゲーションシステムの精度検証を行った。【方法】 ナビゲーションシステムは光学式三次元位置計測装置Polaris (Northern Digital Inc.)、医用画像処理ワークステーションVirtual Place (AZE社)、STOLZ製腹腔鏡装置で構成される。以下の手順にてナビゲーションを行なった。1.術前に体表面にマーカーを装着して、MDCT撮影とMR非造影尿路造影を施行。2.画像データ(DICOM)をワークステーションに転送する。画像処理にてマーカー、腹部大動脈、尿管を抽出し三次元モデルを作成する。3.術中に体表のマーカー位置と腹腔鏡をPolarisで計測して剛体レジストレーションを行い、腹腔鏡視野と三次元モデルを重畳表示させる。【結果】造影剤や鎮痙剤を使用せずMRIにて尿管の全走行を確認し、モデルを作成できた。作成した尿管モデルとCTから作成した血管モデルは、腹腔鏡視野に重畳表示され、斜視鏡の鏡頭回転を含む全ての視野の移動に追従できた。術中ナビゲーションに必要な時間は225±43秒、尿管の位置誤差は6.5±3.2mmであった。【結語】腹腔鏡下大腸切除術において術中ナビゲーションは手術の安全性向上に寄与しうると考えられた。
索引用語 内視鏡, ナビゲーション