セッション情報 要望演題5 「肝疾患に対する最新の治療 -基礎から臨床まで-」

タイトル

C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン+リバビリン+脂質モジュレーター併用療法による治療成績向上の検討

演者 吉本 剛志(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科)
共同演者 古賀 荒太郎(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科), 大橋 朋子(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科), 内田 匡彦(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科), 岩佐 勉(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科), 杉 満紀子(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科), 水谷 孝弘(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科), 武元 良祐(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科), 宮原 稔彦(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科), 福泉 公仁隆(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科), 原田 直彦(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科), 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器科DELIMITER独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 臨床研究センター)
抄録 【目的】HCV感染肝細胞においては、コレステロールおよび脂肪酸合成が亢進しており、脂質代謝の変化がウイルス増殖に関連するならば、これらを制御する脂質モジュレーターを用いることで治療成績の向上に繋がる可能性があると考えられた。そしてこれまでにコレステロール合成を抑制するスタチンや脂肪酸合成を抑制するエイコサペンタエン酸(EPA)のレプリコン系でのウイルス増殖抑制作用が報告されている。今回、脂質モジュレーター併用による治療成績向上の可能性につき検討したので報告する。【方法】2008年に標準的なペグインターフェロン+リバビリンにピタバスタチン2 mg/d+EPA 1800 mg/d(女性にはリセドロ酸Naも併用)を投与した症例(併用群)と、2007年に脂質モジュレーターを使用しない標準的治療を施行した症例(非併用群)につき1型においては EVR(TaqMan 1.7LogIU/ml未満)を、2型においてはRVRを比較検討した。【成績】脂質モジュレーター併用群と非併用群の臨床的背景としては、併用群において有意に肝線維化の程度が高かった(1.8±1.0 vs 2.4±1.1, p=0.02)。EVR(1型)は併用群71%、非併用群53%であり、特にF1-3に限定すると各々80%と58%であった。また、RVR(2型)は併用群88%、非併用群54%であった。併用群におけるEVRの有無による臨床背景因子を解析すると、単変量解析では線維化(F因子)とγGTPが抽出され、P<0.2の因子を用いたstepwise法による多変量解析ではγGTPとウイルス量が有意な因子であった。【結論】スタチン+EPAの併用により、EVRやRVRの向上を認めていることからSVRの向上も十分に期待できるものと思われた。今後さらに症例の増加ならびに観察期間延長により更なる解析検討を行っていく。
索引用語 インターフェロン, C型慢性肝炎