セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
内視鏡的に経時的変化を観察したNSAID起因性小腸大腸病変の一例
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演者 |
青山 祐二郎(厚生会佐田病院) |
共同演者 |
安川 重義(厚生会佐田病院), 石川 智士(厚生会佐田病院), 松尾 静香(厚生会佐田病院), 頼岡 誠(厚生会佐田病院), 八尾 恒良(厚生会佐田病院), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院) |
抄録 |
症例は85歳男性。以前より慢性心不全、慢性関節リウマチ、腎機能障害にて加療中。内服薬として、diclofenac SR 150mg/day, 低容量aspirin 100mg/dayを使用していた。今回は深部静脈血栓症に対するwarfarinの用量コントロール目的にて、当院入院中であった。入院中に貧血の進行を認め、上部消化管内視鏡検査を行ったところ、prepylorus小弯に小open ulcerを認めたものの、明らかな出血性病変は認めなかった。そのため一旦rabeprazole 10mg/dayの投与を開始し、経過観察とした。その後、心窩部痛、暗赤色便を認めたため、全大腸内視鏡検査を行った。bauhin弁近傍の終末回腸に幅広のulcerationを認め、その口側には小open ulcerを散見した。また、bauhin弁上には浅い幅広のulcerあり、さらにほぼ全大腸にわたり、類円形を中心とする、個々の潰瘍の背景粘膜は一見正常で、潰瘍辺縁の境界が明瞭なdiscrete ulcerを散見した。生検では、細胞崩壊像、アポトーシス小体は認めず、非特異的炎症像のみだった。抗生剤の使用歴もないことも併せ、NSAID起因性小腸大腸病変を最も強く疑い、diclofenac SR、低容量aspirin、warfarinの中止及び絶食、TPN管理とした。その後下血及び腹痛なく経過し、中止10日後の全大腸内視鏡検査では、回腸病変は縮小傾向にあり、大腸病変は全て瘢痕化していた。その後低用量aspirin、warfarinを再開し、食事も開始したが、とくに下血、貧血の進行などなく、中止1ヵ月後の全大腸内視鏡検査では回腸、大腸病変ともに狭窄なく、瘢痕化を認めてたためdiclofenac SRを原因とするNSAID起因性病変と診断した。近年ダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡の登場により、小腸内視鏡検査は目覚しく発展し、NSAID起因性小腸病変の報告例は増加している。今回われわれはNSAID起因性小腸大腸病変の経時的な変化が内視鏡像で追えた症例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
NSAID起因性消化管病変, 小腸潰瘍 |