セッション情報 シンポジウム 「ESDの治療成績向上をめざして」

タイトル

胃噴門、幽門領域におけるESDの治療成績の検討

演者 板場 壮一(九州大学大学院 病態制御内科学)
共同演者 隅田 頼信(九州大学大学院 病態制御内科学), 荻野 治栄(九州大学大学院 病態制御内科学), 山田 真梨子(九州大学大学院 病態制御内科学), 徳永 紀子(九州大学大学院 病態制御内科学), 井星 陽一郎(九州大学大学院 病態制御内科学), 麻生 暁(九州大学大学院 病態制御内科学), 村尾 寛之(九州大学大学院 病態制御内科学), 金山 兼司(九州大学大学院 病態制御内科学), 秋穂 裕唯(九州大学大学院 病態制御内科学), 中村 和彦(九州大学大学院 病態制御内科学), 高柳 涼一(九州大学大学院 病態制御内科学), 後藤 綾子(九州大学大学院 形態機能病理学)
抄録 【背景】ESDは胃上皮性腫瘍の標準的治療の一つになりつつあるが、噴門や幽門にかかる病変は、他部位と比べた際の複雑な解剖学的特性より未だ切除困難な部位であるといえる。【目的】当科においてESDを施行した胃上皮性腫瘍のうち切除線が噴門にかかる、もしくは越す病変(噴門病変と定義)、切除線が幽門輪にかかるもしくは越す病変(幽門病変と定義)の治療成績をretrospectiveに検討する。【対象と方法】2002年9月から2009年3月にかけてESDを行なった胃上皮性腫瘍 217病変(癌180病変、腺腫 37病変)中、噴門病変は13例、幽門病変は12例であった。使用デバイスはITナイフ(2)、フックナイフ、フラッシュナイフを適宜用いた。【成績】噴門病変13例中2例が切除不能であり、切除可能であった病変も4例が側方断端陽性であり、多部位病変に比べ有意に高率であった。合併症は切除不能であった1例に術中大量出血を認めた。また幽門病変は12例全例で側方断端陰性であった。合併症として後出血1例、誤嚥性肺炎1例を認めた。幽門病変は1例で十二指腸球部から反転しての切開を要したが、他の病変は胃内からの操作で切除可能であった。【結論】噴門病変では側方断端陽性になる可能性が高く、原因として解剖学的に他部位と比べて複雑であり、病変全体の視認が困難な病変があること、術前に腺腫と診断されていても切除後に癌と診断される例が多いこと、狭窄の懸念があり、必要最低限の切除に留めようという意識が働いてしまうことなどが考えられた。切除に際してはより慎重な切除範囲設定が必要と考えられた。幽門病変に関しては大部分の症例で胃内からの操作が可能であり、治療成績に関しても良好であった。
索引用語 胃癌, ESD