セッション情報 | 要望演題4 「進行・再発大腸癌に対する治療戦略」 |
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タイトル | H3 stageの肝転移を伴うS状結腸癌に対して化学療法後に肝切除を行い長期生存を得た1症例 |
演者 | 中川 茂樹(熊本大学大学院 医学薬学研究部 消化器外科学) |
共同演者 | 林 尚子(熊本大学大学院 医学薬学研究部 消化器外科学), 長井 洋平(熊本大学大学院 医学薬学研究部 消化器外科学), 鶴田 豊(熊本大学大学院 医学薬学研究部 消化器外科学), 岩上 志郎(熊本大学大学院 医学薬学研究部 消化器外科学), 小森 宏之(熊本大学大学院 医学薬学研究部 消化器外科学), 渡邊 雅之(熊本大学大学院 医学薬学研究部 消化器外科学), 別府 透(熊本大学大学院 医学薬学研究部 消化器外科学), 馬場 秀夫(熊本大学大学院 医学薬学研究部 消化器外科学) |
抄録 | 【はじめに】近年の高度進行大腸癌に対する化学療法の進歩には目覚しいものがあるが、肝転移症例に対して最も良好な予後が期待できる治療法は依然として肝切除である。今回、S状結腸癌の多発肝転移に対し化学療法を導入し、腫瘍の縮小の後に肝切除を行い長期生存が得られた症例を経験したので報告する。【症例】69歳男性、S状結腸癌、多発肝転移(cSS cN1 cP0 cH3 cM0 cStage4)の診断にて化学療法を導入された。1st.lineとしてmFOLFOX6を8コース施行した時点で、原発巣は著明な縮小を認め、肝転移巣はPRであった。原発巣は化学療法により線維化を伴う消化管狭窄を認めたため、S状結腸切除術(D2)を施行した。残存する肝転移に対しては、2nd.lineとしてFOLFIRIを導入し8コース施行した。腫瘍マーカーはCEA 4979(化学療法導入前)→3.7(FOLFIRI 8コース後)とほぼ正常化した。肝転移巣はさらに縮小し、局所再発や新たな転移巣は認めなかった。この時点でtumor freeの手術が可能と判断し、右肝切除+S3/4部分切除+S3ラジオ波凝固術(RFA)を施行した。術後化学療法としてmFOLFOX6を計6クール施行し、肝切除術後6ヶ月目のMRIにて残肝に腫瘍の残存を疑う結節を認め、経皮的RFAを施行した。以後、経口抗癌剤による補助化学療法を1年間施行し、その後無治療にて経過観察中であるが、RFA後18ヶ月無再発生存中である。【まとめ】多発肝転移を認め肝切除困難と考えられた高度進行大腸癌症例に対しても積極的な化学療法を行い肝切除を施行することで長期生存が可能であった。【結語】化学療法を先行した切除不能進行大腸癌肝転移に関して良好な予後を得るためには、肝切除のタイミングを逃さず肝切除を施行する事が重要と考えられた。 |
索引用語 | 大腸癌, 肝転移 |