セッション情報 一般演題

タイトル

経過中に胆管の画像および組織学的異常像を呈し、原発性硬化性胆管炎と診断した一例

演者 中村 憲一(宮崎大学医学部消化器血液学)
共同演者 楠元 寿典(宮崎大学医学部消化器血液学), 山路 卓巳(宮崎大学医学部消化器血液学), 原田 拓(宮崎大学医学部消化器血液学), 安倍 弘生(宮崎大学医学部消化器血液学), 岩切 久芳(宮崎大学医学部消化器血液学), 田原 良博(宮崎大学医学部消化器血液学), 蓮池 悟(宮崎大学医学部消化器血液学), 山本 章二朗(宮崎大学医学部消化器血液学), 永田 賢治(宮崎大学医学部消化器血液学), 下田 和哉(宮崎大学医学部消化器血液学), 落合 俊雅(日南市立中部病院), 大内田 次郎(宮崎大学腫瘍機能制御外科学), 千々岩 一男(宮崎大学腫瘍機能制御外科学)
抄録 【症例】47歳 女性 【主訴】全身倦怠感 【現病歴】2007年6月頃から全身倦怠感が出現し、10月に近医で肝胆道系酵素の上昇と区域性脂肪肝を指摘され、11月に当科を紹介受診した。【生活歴】1994年から2007年6月まで漢方薬を服用、飲酒なし、喫煙なし 【既往歴】7歳 虫垂切除、8歳 扁桃摘出、23歳 肺炎、膠原病疑い(詳細不明)【家族歴】母に慢性B型肝炎、男児あり【検査所見】WBC 7600/μl (Eo 3.6%), TP 7.62g/dl (γglo 20.5%), Alb 4.54g/dl, ALT 164 IU/L, ALP 1405 IU/L, T-Bil 1.2mg/dl, HBsAg(-), ANA(-), AMA(-), CEA 3.5ng/ml 【臨床経過】2007年12月のMRCPで膵胆管系は異常なく、肝生検は脂肪肝と非特異的肝炎の所見であり、肝障害の原因は不明であった。ウルソデオキシコール酸、ベザフィブラート内服で、脂肪肝は改善したが、2008年8月頃から、倦怠感の増悪と黄疸(T-Bil 3.0mg/d)が出現した。2008年12月のMRCP、ERCPで肝内胆管の多発性の狭窄と拡張、枯れ枝状所見を認めた。再度施行した肝生検で門脈域の炎症の増強と線維化の拡張を認め、PSCに矛盾しない所見であった。2次性硬化性胆管炎は否定的であり、原発性硬化性胆管炎(PSC)と診断した。下部消化管検査で炎症性腸疾患は認めなかった。IgG4は194mg/dlとわずかに上昇していたが、ステロイド治療でも改善せず自己免疫膵炎による胆管病変は否定的であった。現在生体部分肝移植も視野に外来加療中である。【結語】PSCは肝内外の胆管の線維性狭窄を生じる進行性の慢性炎症疾患であり、典型的な胆管像と胆汁うっ滞所見で診断される。原因は自己免疫機序によると考えられているが詳細は不明である。今回我々は、特異的な画像所見を示さず肝胆道系酵素の上昇のみで経過観察中に、胆管異常像が顕在化したPSCの一例を経験した。確定診断前から画像検査、肝生検で経過観察でき貴重な症例と考えられた。
索引用語 PSC, 肝生検