セッション情報 パネルディスカッション11(肝臓学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

門脈圧亢進症-新たな画像診断法と治療

タイトル 外PD11-7:

門脈圧亢進症に対する新しい治療コンセプト:PSE併用経頚静脈的逆行性塞栓術を中心として

演者 近森 文夫(国吉病院・消化器外科)
共同演者 高瀬 靖広(つくば双愛病院・外科), 河島 孝彦(つくば双愛病院・外科)
抄録 門脈圧亢進症に対する新しい治療:部分的脾動脈塞栓術(PSE)・併用経頚静脈的逆行性塞栓術(TJO)の合理性につき、予後・門脈・全身血行動態変化を中心に検討.検討1.予後:併用療法で治療した胃静脈瘤(GV)14 例 (1群)とTJO単独で治療した19例(2群)の治療成績につき検討.GV消失率は、1群100%、2群100%。3年累積生存率は、1群92%、2群95%.TJO後累積EV発生率は、1群で1年0%、2年9%、3年9%、2群で1年27%、2年45%、3年45%と、1群で有意に低率(p<0.05).検討2.併用療法の門脈血行動態・肝機能変化:対象は併用療法を施行したGV16例.WHVPはPSE直前23±7 からPSE直後19±7に低下 (p<0.01). その2週間後に施行したTJO直前には20±5からTJO翌日には22±6に上昇(p<0.01).併用療法前後のWHVPは差なし.脾静脈血流量は前319±131から後 179±113へ有意に減少(p<0.05).併用療法前/後のNH3は各々94±37/72±30、T.bilは 1. 9±1.2/1.4±0.9、ChEは137±74/170±104と有意に改善(p<0.05).検討3.併用療法による全身血行動態変化:対象は右心カテーテル検査をPSE&TJO前ならびに術後フォロー中に施行しえたGV11例.術後右心カテ施行時期は22±13Mo.心係数は前/後= 3.98±0.85/ 4.05±0.78(NS)、体血管抵抗係数前/後 = 1887±450/ 1837±462(NS).動静脈血酸素含量較差は前/後= 2.55±0.55/ 3.21±0.90と有意差を認めた(p<0.05).酸素消費量も前/後= 99±15/ 125±28と有意差を認めた(p<0.05).検討4. 右心カテを施行した肝硬変症(LC)108例を対象に、高血圧性LC(n=47)と非高血圧性LC(n=61)の血行動態を検討.高血圧性LCの全身血管抵抗は非高血圧性LCに比べて高くなり、全身血行動態からみて正常(非LC)に近づく傾向にあった.薬物療法開始時にはこの血行動態の違いを考慮する必要があるものと思われた.【結語】PSE・TJO併用療法は予後や門脈・全身血行動態からみて有効な新しいGV治療戦略と考える.薬物療法開始時には全身血行動態評価の必要性が示唆された.
索引用語 部分的脾動脈塞栓術, 経頚静脈的逆行