セッション情報 要望演題10 「門脈圧亢進症治療の新たな展開」

タイトル

胃静脈瘤出血に対する内視鏡的硬化療法の手技と成績

演者 江口 英利(大分大学 第一外科)
共同演者 平下 禎二郎(大分大学 第一外科), 増田 崇(大分大学 第一外科), 遠藤 裕一(大分大学 第一外科), 岩下 幸雄(大分大学 第一外科), 小川 聡(大分大学 第一外科), 甲斐 成一郎(大分大学 第一外科), 柴田 浩平(大分大学 第一外科), 太田 正之(大分大学 第一外科), 北野 正剛(大分大学 第一外科)
抄録 【はじめに】胃静脈瘤出血は食道静脈瘤に比べて出血量が多く、出血死あるいは肝不全を併発する危険性が高い。5% ethanolamine oleateを用いた胃静脈瘤出血に対する内視鏡的硬化療法(EIS)では無効例が多く限界があったが、シアノアクリレート系薬剤が導入され瞬時に止血可能となった。今回、われわれは胃静脈瘤出血例に対するHistoacrylを用いたEISの手技と成績について供覧する。【対象と方法】2000年1月から2009年3月までに当科において、胃静脈瘤出血症例に対しHistoacrylを用いたEISを7例に施行した。平均年齢は52±24歳、男女比は4:3で、背景肝は肝硬変が5例、特発性門脈圧亢進症が1例、直腸癌多発肝転移が1例であり、2例に肝細胞癌の合併が認められた。肝機能はChild-Pugh Aが5例、Bが2例で、胃静脈瘤はLg-cfが6例、Lg-fが1例であり、F2が4例、F3が3例であった。EISの手技は100% Histoacryl 0.5-1.0ml /回を内視鏡観察下に出血部位の近傍へ注入した。【結果】Histoacrylの注入量は、平均1.0±0.7mlで、全例に止血が可能であり、止血後再出血は1例も認めなかった。初回治療から平均22±11日後に7例中5例に二次治療を施行し、4例はバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を、1例はHassab手術を施行した。その後の5例の平均観察期間は16±16ヶ月で、再出血は現在まで1例も認めていない。【結論】胃静脈瘤出血に対するHistoacrylを用いたEISは有効かつ安全に施行可能であり、二次的治療を追加することにより、再出血を抑止することができると考えられた。
索引用語 胃静脈瘤, ヒストアクリル