セッション情報 一般演題

タイトル

当科でESDを施行した同時性多発早期胃癌の2例

演者 瀧澤 延喜(原三信病院 消化器科)
共同演者 松坂 浩史(原三信病院 消化器科), 中村 典資(原三信病院 消化器科), 長田 美佳子(原三信病院 消化器科), 山田 隆史(原三信病院 消化器科), 高橋 誠(原三信病院 消化器科), 兼城 三由紀(原三信病院 消化器科), 千々岩 芳春(原三信病院 消化器科), 河野 眞司(原三信病院 臨床病理部)
抄録 症例1は68歳,男性.健診で上部消化管造影検査を施行した際に前庭部の粘膜異常を指摘され精査を行った.上部消化管内視鏡検査で粘膜萎縮,腸上皮化生による変化を背景に幽門前庭部小弯に径15mmほどの褪色調隆起性病変,胃体下部前壁に径15mmほどの発赤調陥凹性病変を認め,いずれも生検にてGroupIV 分化型腺癌疑いと診断された.まず幽門前庭部小弯のcType0 IIa病変に対しESDを施行,pT1(M)の高分化型管状腺癌で根治度EAであった.次に胃体下部前壁のcType0 IIc病変に対しての周囲マーキングを行う際に,その肛門側近傍に扁平な褪色調隆起性病変を認識し,再度色素撒布と拡大観察を併用し両病変を含めるように切除範囲を決定しESDを施行した.48×34mmの切除標本の内に7×6mmのIIc病変と28×22mmのIIa病変が別々に存在し,ともに深達度pT1(M)の高分化型管状腺癌,根治度EAであった.症例2は74歳,女性.心窩部不快感を主訴に上部消化管内視鏡検査時を施行し前庭部前壁に20mmほどのcType0 IIa+IIc病変を認めた.多発病変を念頭に詳細な観察を行ったところ,その肛門側にも10mmほどの陥凹性病変を認めた.生検ではいずれもGroupV,分化型腺癌と診断され,ESDにより2病変を一括で切除した.55×40mmの切除標本の内に25×22 mmのIIa+IIc病変と15×10mmのIIc病変が別々に存在した.IIc+IIa病変はpT1(SM)の中分化型管状腺癌で根治度EBであった.IIc病変はpT1(M)の高分化型管状腺癌で根治度EAであった.早期胃癌,胃腺腫に対する内視鏡的治療を施行するにあたっては,常に同時性多発病変の存在に留意し,切除範囲を決定する必要があると考えられる.最近当科で経験した2例を若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 早期胃癌, 多発病変