セッション情報 一般演題

タイトル

インフリキシマブが奏功した不全型腸管ベーチェット病の一例

演者 山路 卓巳(宮崎大学 医学部 消化器血液内科)
共同演者 山本 章二朗(宮崎大学 医学部 消化器血液内科), 田原 良博(宮崎大学 医学部 消化器血液内科), 原田 拓(宮崎大学 医学部 消化器血液内科), 安倍 弘生(宮崎大学 医学部 消化器血液内科), 中村 憲一(宮崎大学 医学部 消化器血液内科), 楠元 寿典(宮崎大学 医学部 消化器血液内科), 岩切 久芳(宮崎大学 医学部 消化器血液内科), 蓮池 悟(宮崎大学 医学部 消化器血液内科), 永田 賢治(宮崎大学 医学部 消化器血液内科), 下田 和哉(宮崎大学 医学部 消化器血液内科)
抄録 症例は69歳、女性。58歳発症の不全型の腸管ベーチェット病で、近医で加療されていた。62歳時に腸病変が悪化し、ステロイドパルス療法やメサラジンなどで軽快し、以後ステロイド内服で治療を継続されていたが、その後ステロイド剤を中止することはできなかった。経過中、糖尿病も発症し、加療を受けていた。2007年に下痢や血便の増悪を認め、嚥下痛も出現したため、当科を紹介され、入院となった。入院後、種々の精査を施行した。大腸内視鏡検査(TCS)では、上行結腸上部からS状結腸下部に幅の広い縦走潰瘍や円形の不整潰瘍が多発していた。上部消化管内視鏡検査(GS)では食道全域に多発する小潰瘍を認めた。これまでステロイド剤が大量に投与されており、ステロイドに伴う副作用も懸念し、消化管病変に対し、同意の元、インフリキシマブ(IFX)を投与した。IFX投与1ヶ月後のGSでは食道潰瘍は消失しており、CSでは下行結腸が狭窄していたが、潰瘍は縮小傾向を示していた。その後、徐々にステロイドを減量し、定期的にIFX1投与を継続し、一時的にベーチェット病の症状の再燃を認めたため、アザチオプリンを開始した。以後は症状の増悪はなく、ステロイドを減量から中止としたが、症状の再燃はなかった。IFX初回投与から約2年後のTCSでは潰瘍はさらに縮小しており、狭窄も改善傾向を認めていた。投与中、IFXの副作用はない。本例はステロイド離脱困難な腸管ベーチェット病に対し、IFXを導入し、ステロイド剤が中止できた症例であり、貴重な症例と思われたため、文献的考察をふまえて報告する。
索引用語 腸管ベーチェット病, インフリキシマブ