セッション情報 パネルディスカッション11(肝臓学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

門脈圧亢進症-新たな画像診断法と治療

タイトル 肝PD11-10指:

門脈圧亢進症に対する非造影MRIの果たす役割

演者 斎藤 聡(虎の門病院・肝臓センター)
共同演者 池田 健次(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター)
抄録 【目的】門脈圧亢進症に関する画像診断として、MRIはX線被曝なく、非造影検査で多くの情報が得られる。この非造影MRIを用いた、スピンラベリング法を用いた非造影MRAと文献学的にMR Elastographyの門脈圧亢進症における有用性に関して検討した。【対象と方法】対象は肝硬変症例155症例。年齢56~81歳(中央値65歳)、男女比88:67、原因はC型76%、B型15%、アルコール性8%、程度はChild A 100例、Chind B 41例、Child C 14例。スピンラベリング法を用いた非造影MRAの装置はMagnetom Avanto-1.5T、アプリケーションはNATIVE True-FISP法を使用。スピンラベリング法は選択的IRパルスを胸腹部全体に印加し、背景信号を抑制し、その後に上下腸間膜静脈領域と脾静脈領域にIRパルスを印加し、門脈へ流入する血液をスピンラベリングし、一定時間後に撮像することで動脈や静脈の信号を抑えつつ、門脈系血管のみを画像化する方法である。側副血行路に関しては造影CTをコントロールをとし、描出能を検討。【成績】1.肝内外の門脈系血管の描出:門脈本幹、1・2・3次分岐、脾静脈・上下腸間膜静脈・左胃静脈の描出はChild Aではすべて100%、Child BおよびCでは1・2・3次分岐がそれぞれ、100・85・67%であったが、その他はいずれも100%であった。2.門脈圧亢進症に伴う側副血行路の描出率:(n=119) 左胃静脈上行シャント98%、左腎静脈系シャント(胃腎シャント・脾腎シャント)100%、下腸間膜静脈逆流シャント100%、左性腺静脈逆流シャント100%、傍臍静脈シャント67%であり、シャントの起始部から流出部まで全体を把握可能であった。さらには3D-CTでは椎体骨の影響で描出が困難であった、左腰静脈へのシャントが明瞭に描出可能であった。【結語】スピンラベリング法を用いた非造影MRAは門脈系血管および門脈側副血行路の描出に優れる。門脈圧亢進の病態に関してはMR Elastographyが肝臓よりも脾臓のElastographyが優れるとされるが、併せて文献学的に検討する。非造影MRIは門脈圧亢進症の病態の把握には有用と思われる。
索引用語 非造影MRA, 門脈圧亢進症