セッション情報 パネルディスカッション11(肝臓学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

門脈圧亢進症-新たな画像診断法と治療

タイトル 肝PD11-12:

ソラフェニブのVasoconstrictorとしての門脈降圧効果~進行性肝細胞癌患者に対する前向きコホート研究から~

演者 日高 央(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 國分 茂博(順天堂大練馬病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【緒言】ソラフェニブはVEGFR等を阻害することにより血管新生を抑制し抗腫瘍効果を発揮する。またMejiasらは動物実験において、ソラフェニブ投与によって門脈圧が低下する可能性があるとしている(Hepatology.2009;49:1245-56)。ソラフェニブ投与によるVasoconstrictorとしての門脈降圧効果について、ドプラ超音波を用い投与前と2週後の比較検討を行った。【対象・方法】症例数は25名(男性21名/女性4名。年齢 中央値69(47-83)歳 HCV抗体陽性18例 HBs抗原陽性2例 NBNC5例)。全例Child Aを対象とし、Vp3やVv3浸潤のある症例は除外した。ソラフェニブ投与量は800mg/日から開始し、CTCAE Version4.0に基づき減量をおこなった。使用機器は東芝メディカル社製APLIO XG、probeはPVT-375BTを使用し周波数は3.5MHzとした。測定項目は門脈本幹、右枝、門脈臍部、脾静脈での最高流速(Vmax)、断面積、流量(Flow)、また脾動脈のResistance index(RI)、Pulsatility index(PI)及び心拍出量(CO)とし、ドプラアングルは60°以下で測定した。ソラフェニブ投与前と投与2週後で比較し、有意差を認めた項目につきその投与前の因子について検討を加えた。またP<0.05をもって有意差ありと判定した。【結果】1例がG3の肝機能障害と本人の希望により投与を中止。3例でG3の副作用(高血圧、肝性脳症、手足症候群各一例)により400mg/日へ減量した。ドプラ超音波を用いた測定において、投与前後で肝内門脈流速や流量に変化を認めなかったが、門脈本幹の血管断面積は0.78cm²から0.64 cm² (P=0.023)と有意に縮小した。門脈圧と相関があるといわれているCongestive Index(CI)も3.9cm×secから3.0 cm×sec (P=0.042)と有意に低下した。またCIの低下は、治療前の門脈本幹の断面積に有意に負の相関を示した (P=0.014)。【結語】ソラフェニブ投与により、進行性肝細胞癌患者の門脈圧が改善する可能性が示唆されるも、臨床症状を含めたさらなる検討を要する。
索引用語 ソラフェニブ, 肝癌