セッション情報 パネルディスカッション12(肝臓学会・消化器病学会合同)

ウイルス性肝炎と肝外病変

タイトル 肝PD12-2:

Th17分化誘導によるHCV関連自己免疫疾患発症の可能性

演者 近藤 泰輝(東北大病院・消化器内科)
共同演者 二宮 匡史(東北大病院・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大病院・消化器内科)
抄録 【背景】我々はリンパ指向性HCVがT細胞分化に関わる可能性について検討を続けており、自己免疫疾患と関わりの深いTh17誘導について検討することは急務である。【目的】C型肝炎ウイルスがTh17分化誘導にどのような影響を及ぼすかを検討する。【方法】当院受診で肝生検を実施した200例のCHC患者のクリオグロブリン、自己抗体免疫疾患合併頻度について検討した。CHC患者血清を用いて、Th17分化に影響を与えるTGF-β,IL6,IL21についてELISAを用いて定量した。in-vitroのSB-HCV複製系を用いて、Humanのプライマリーnaive T細胞への感染実験を行った。Th17分化条件を含め各種培養条件(IL6+TGF-β, IL6, IL2)で培養を施行してIFN-γ, IL10, IL17A産生細胞頻度をFACSにて解析し、またT-bet,Gata-3, Rorγtを定量した。HCV-individual protein (HCV-E1, E2, Core, NS2, NS3,NS4A, NS5A, NS5B)発現プラスミドをNucleofectorにてヒトプライマリーT細胞に導入を行いTh1抑制、Th17分化誘導の責任蛋白の同定を試みた。また、STAT-1, STAT-3シグナルを解析した。長期に蛋白発現をさせる目的でHCV-Core発現レンチウイルスを作成し感染実験を施行した。また、リンパ球より得られたHCVと血清中より得られたHCVについてのSequence解析を施行した。【結果】自己抗体陽性慢性C型肝炎患者においてIL6, TGF-βの産生が共に亢進しており、Th17分化条件にあると考えられた。IL6とTGF-βが共に高い患者群において有意にリンパ球内でHCVの複製が確認された(p<0.05)。SB-HCV感染naive T細胞において、IL6+TGF-β刺激下ではIL17A産生細胞の有意な増加を認めた(p<0.05)。さらに、SB-HCVの他にgenotype-1bのリンパ指向性HCV-strainを同定した。HCV-CoreとNS5A導入T細胞においてIFN-γ産生の有意な抑制が認められた。HCV-Core導入T細胞においてSTAT-3シグナルの有意な増強、Th17細胞の有意な増加が確認された。【結論】HCVがリンパ球へ感染することによりTh17分化誘導を増強することが確認された。
索引用語 HCV, Th17