セッション情報 |
パネルディスカッション12(肝臓学会・消化器病学会合同)
ウイルス性肝炎と肝外病変
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タイトル |
肝PD12-3:HCV肝外病変の剖検例からの検討
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演者 |
瀬古 裕也(虎の門病院・肝臓センター) |
共同演者 |
荒瀬 康司(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター) |
抄録 |
【目的】HCVは肝以外の細胞、臓器にも、様々な異常を引き起こす。これらは生存中に検査異常、もしくは臨床症状を伴い診断されることもあるが診断にいたらないことも多い。今回剖検例を検討することでHCV肝外病変の有病率についてHBV陽性例と比較検討した。【方法】当院肝臓センターで治療され、剖検された肝炎ウイルス陽性の348例を対象とした。内訳は男性/女性:266/82例、年齢59歳(中央値)、HBs抗原陽性/HCV抗体陽性/HBs抗原陰性、HCV抗体陰性:57/258/33例。これらにおける肝外病変の有無につき検討を行った。【結果】(1) HBV陽性群57例では、年齢50歳(中央値)、男性/女性:48/9、慢性肝炎/肝硬変:13/44、死亡時肝癌合併43例、脾摘が7例であった。HCV陽性群258例では年齢70歳(中央値)、男性/女性:187/71、慢性肝炎/肝硬変:33/225、死亡時肝癌合併203例、脾摘26例であった。(2) HBV陽性群/HCV陽性群では肝外病変陽性例は、糸球体腎炎14/91例(24.6/35.2%)、間質性肺炎0/16例(0/6.2%)、甲状腺炎3/20例(5.3/7.8%)、心筋症2/10例(3.5/3.9%)、唾液腺炎6/43例(10.5/16.7%)であり、また糖尿病の合併は2/61例(3.5/23.6%)で認めた。このうち間質性肺炎(p=0.05)、糖尿病の合併(p<0.01)はHCV陽性群で多くみられた。(3) 糸球体腎炎、間質性肺炎、甲状腺炎、心筋症、唾液腺炎のうち2つ以上の肝外病変を合併したのは4/41例(7.0/15.9%)であり、HCV陽性群で多く見られた。(p=0.04)(4)HCV陽性で脾摘を行った26例とそれ以外の232例を比較した。脾摘群/非脾摘群では、糸球体腎炎17/74例(65.4/31.9%)、間質性肺炎3/13例(11.5/5.6%)、甲状腺炎0/20例(0/8.6%)、心筋症1/9例(3.8/3.9%)、唾液腺炎10/33例(38.5/14.2%)であり、唾液腺炎(p=0.004)、糸球体腎炎(p<0.01)は脾摘群で合併率が高かった。また2つ以上の肝外病変の合併は8/33例(30.8/14.2%)であり脾摘群で高かった。【結語】剖検例においてHBV陽性患者と比べて、HCV陽性では間質性肺炎、糖尿病が多く、肝外病変を2つ以上合併する率も高かった。また脾摘を行うと肝外病変が進む可能性が示唆された。 |
索引用語 |
HCV, 肝外病変 |