セッション情報 パネルディスカッション12(肝臓学会・消化器病学会合同)

ウイルス性肝炎と肝外病変

タイトル 肝PD12-5:

C型慢性肝障害インターフェロン治療における肝門部リンパ節腫大の意義

演者 池田 均(東京大附属病院・検査部DELIMITER東京大・消化器内科)
共同演者 榎奥 健一郎(東京大附属病院・検査部DELIMITER東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝障害においては高頻度に肝門部リンパ節腫大を認めるが、その臨床的意義は不明の点が多い。我々は第48回総会において、肝門部リンパ節腫大例で肝細胞癌発症が少ないことを報告した。インターフェロン治療効果については、肝門部リンパ節腫大例で低いとする既報があるが、相反するものもあり、今回、この点を検討した。【方法】肝門部リンパ節腫大は腹部エコー心窩部走査により確認した。インターフェロン治療との関連は2004年12月から2005年6月に東大病院消化器内科外来を受診したC型慢性肝障害846例中、その後インターフェロン治療を施行した例において、また、既知のインターフェロン治療効果予測因子との関連は2012年1月から3月の当科外来受診例でセロタイプ1であった45例において解析した。【成績】対象846例中、169例(20%)で肝門部リンパ節腫大を認め、血小板数、血清アルブミン、AST、ALT、FibroScanによる肝硬度や血中HCV量との関連は無かった。インターフェロン治療を行った206例において、肝門部リンパ節腫大例でのSVR率は20.6%で、非腫大例でのSVR率54.1%より有意に低かった(p = 0.0005)。さらにセロタイプ1でペグ化インターフェロンとリバビリンにより治療した115例において肝門部リンパ節腫大は、多変量解析により独立したSVRの負の予測因子であった(p = 0.02)。既知のインターフェロン治療効果予測因子との関連については、Core 70の野生型はリンパ節腫大例の44.4%、非腫大例の40.7%、ISDRの変異型は腫大例の44.4%、非腫大例の33.3%、IL28B majorは腫大例の66.7%、非腫大例の70.4%に検出され、それぞれ有意差は認めなかった。【結論】C型慢性肝障害における肝門部リンパ節腫大は、ウイルス因子としてのCore 70、ISDR変異、宿主因子としてのIL28B SNPとは独立したインターフェロン治療効果予測因子である。
索引用語 C型肝炎, インターフェロン