セッション情報 | パネルディスカッション12(肝臓学会・消化器病学会合同)ウイルス性肝炎と肝外病変 |
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タイトル | 肝PD12-9:C型慢性肝炎患者における糖代謝異常の実態 |
演者 | 河口 康典(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科) |
共同演者 | 水田 敏彦(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科), 江口 有一郎(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科) |
抄録 | 【目的】HCVの肝外病変として糖代謝異常がある。我々はC型慢性肝炎(CHC)において、インターフェロン(IFN)治療にインスリン抵抗性(IR)が影響すること、IFNでHCVを排除するとIRが改善すること、内臓脂肪がIRを増強すること、IR等の代謝因子が血清ALT値に影響すること、糖負荷後高血糖が肝癌発症のリスク因子であること等を報告してきた。このようなCHC患者の予後に影響を与える糖代謝の実態を明らかにするため、当科に蓄積されたデータを解析した。 【方法】対象は2004年1月から2012年2月までに当科を受診したCHC患者の内、OGTTを行った症例で糖尿病薬の服用がない383名。肝でのIRとしてHOMA-IRを、全身のIRとしてWBISI[10,000/(空腹時血糖値(FBS)×空腹時インスリン値(FIRI)×平均BS×平均IRI)0.5]を使用。353名は肝生検を施行し新犬山分類で評価。連続データは中央値(範囲)で示し、統計解析はχ二乗検定、Mann-Whitney U検定、Kruskal-Wallis検定を使用。 【結果】男性206名、女性177名、年齢56歳(22-75)。FBS 89(67-161)、2hr-BS 122(38-338)、FIRI 7.2(0.9-33.9)、2hr-IRI 52.6(5.5-499.6)。耐糖能評価はNGT/IFG/IGT/DM:256/1/93/33であり33%が異常を示した。HOMA-IR 1.60(0.19-7.95)、WBISI 4.94(1.01-23.29)であり、HOMA-IR≧2(133名、35%)とWBISI<5(196名、51%)を示すIRの割合は男性が有意に多かった。一方で、男性は年齢によってIRに差はなかったが、女性では高齢になるにしたがいHOMA-IR及びWBISIは悪化した。線維化の進展によって、FBSに変化はなかったが、2hr-BS(P=0.021)、FIRI(P<0.001)、2hr-IRI(P<0.001)は高値を示し、HOMA-IR及びWBISI(P<0.001)も悪化した。 【結論】CHC患者の1/3が耐糖能異常を有しており、IRを示すものは半数に上った。糖代謝には、年齢、性別、肝線維化等種々の要因が関与するが、内臓脂肪減量やIFNによるHCV排除といった介入可能な要因を除去していくことが生命予後の改善に重要と考えられる。 |
索引用語 | C型慢性肝炎, 糖代謝 |