セッション情報 特別企画 初期研修医

タイトル O-006:

鉄剤の投与にて短期間に臨床症状の改善が得られたPlummer-Vinson症候群の一例

演者 坂爪 公(岩手県立中央病院 消化器科)
共同演者 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 鳥谷 洋右(岩手県立中央病院 消化器科), 伊藤 亜紀子(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 千葉 亮祐(岩手県立中央病院 消化器科), 白木 健悠(岩手県立中央病院 消化器科), 宮澤 輝子(岩手県立中央病院 消化器科), 斎藤 菜穂子(岩手県立中央病院 消化器科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 吉田 雅義(岩手県立中央病院 消化器科), 上野 孝治(岩手県立中央病院 消化器科), 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理科), 鈴木 昇(緑ヶ丘消化器内科医院)
抄録 Plummer-Vinson症候群は鉄欠乏性貧血の患者に嚥下困難や異物感を伴う病態を呈し、しばしば食道Webとよばれる襞の膜様狭窄がみられる。今回、輸血や鉄剤の投与により短期間に臨床症状が改善したPlummer-Vinson症候群の一例を経験したので報告する。【症例】47歳、女性。主訴:嚥下障害。家族歴:母、弟がB型肝炎。既往歴:20歳代より貧血。現病歴:受診の4、5年前から食物の嚥下障害が出現した。主に固形物の嚥下障害であり、流動物の障害はみられなかった。次第に症状が増強するようになり近医を受診した。著明な貧血と内視鏡検査で食道入口部にWebを指摘され、鉄剤の点滴をうけた後同日当科紹介受診し入院となった。入院時現症では眼瞼結膜に貧血がみられ口角に軽度の炎症がみられた。心雑音、さじ状爪や腹部に異常所見はみられなかった。血液検査では赤血球389万/μl、ヘモグロビン5.5g/dlの小球性低色素性貧血がみられた。前医での血清フェリチンは3ng/mlと低下がみられた。第1病日にMAP2単位の輸血を施行し鉄剤の点滴を開始した。第4病日に水分開始し第5病日より食事を開始したが経口摂取は可能であった。第6病日の上部内視鏡検査では食道入口部にWebがみられたが、経鼻用細径スコープの通過は可能であった。また、Webは嚥下により開存する状態であった。血液検査では赤血球463万/μl、ヘモグロビン8.0g/dl、血清鉄55μg/dl、フェリチン118 ng/mlと軽快がみられた。嚥下障害や口角炎は改善がみられ、第8病日に退院となった。現在、外来にて鉄補充療法を継続中である。 【考察】Plummer-Vinson症候群では舌、咽喉頭、食道に萎縮性病変が及び、食道Webは慢性炎症による結合織の弛緩によるものと考えられている。狭窄が高度の場合は拡張術や手術が必要とされている。本例では柔らかい膜様狭窄であり、嚥下にて容易に開存することから短期間に症状が改善したものと考えられた。
索引用語 Plummer-Vinson症候群, 食道Web