セッション情報 | 特別企画 後期研修医 |
---|---|
タイトル | O-053:多発肝細胞癌で発見されたBudd-Chiari症候群の一例 |
演者 | 白木 健悠(岩手県立中央病院 内視鏡科) |
共同演者 | 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理診断センター), 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 上野 孝治(岩手県立中央病院 消化器科), 吉田 雅義(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 消化器科), 斉藤 菜穂子(岩手県立中央病院 消化器科), 宮澤 輝子(岩手県立中央病院 消化器科), 鳥谷 洋右(岩手県立中央病院 消化器科), 石木 愛子(岩手県立中央病院 消化器科), 宇津志 美帆(岩手県立中央病院 消化器科), 佐々木 康夫(岩手県立中央病院 放射線科), 高杉 昌平(岩手県立中央病院 放射線科) |
抄録 | 【背景】Budd-Chiari症候群は肝静脈3主幹や肝部下大静脈の閉塞や狭窄、もしくはこの両者の併存が原因で、静脈怒張、下腿浮腫、腹水、門脈圧亢進症など多彩な症状を呈する疾患であるが、肝細胞癌の合併が予後因子の一つとして重要視されている。【症例】35歳、男性。主訴は右季肋部痛。既往歴は特にないが、19歳時から健診で肝機能障害を指摘されていた。腹部膨満を主訴に近医を受診し、肝腫大を指摘され、3日後に右季肋部痛が出現し、当院救急外来受診。腹部CTにて最大径8cmの多発する肝腫瘍と腹水を認めたため、精査加療目的に当科入院となった。入院時の採血上、AFP 98420 ng/ml、PIVKA-II 20100 mAU/mlと腫瘍マーカーの上昇を認めた。血管造影では多発する腫瘍濃染を認め、下大静脈造影では、下大静脈が幹部で閉塞し、奇静脈、半奇静脈系を主体とする側副血行路の発達を認め、Budd-Chiari症候群と診断。肝生検では腫瘍部でmoderately-poorly differentiated HCC、非腫瘍部で肝細胞の軽度萎縮と類洞の軽度線維化を認め、うっ血の所見を認め、Budd-Chiari症候群に合致する所見であり、多発肝細胞癌を合併したBudd-Chiari症候群と診断した。腫瘍は多発し、最大8cmあり、また門脈塞栓もあることから手術適応はなく、抗癌剤動注療法と肝動脈塞栓術を併用する方針となった。まず、肝S4の肝表に突出する8cmの腫瘍に対し、破裂予防のため、CDDP50mg、lipiodol、ジェルパートを使用しTAEを施行。肝動脈に動注カテーテルを留置し、CDDP 500mgを計3回動注施行した。その後、肝門部の腫瘍に対しTAEを計4回施行した。経過中、一時、腫瘍マーカーが低下したが、腫瘍は増大し続け、徐々に黄疸が進行し、当科初診約5ヶ月後、自宅で死亡した。【結論】今回、多発肝細胞癌で発見されたBudd-Chiari症候群の一例を経験した。Budd-Chiari症候群は比較的高率(4.7-41%)に肝細胞癌を合併するとの報告があり、原因不明の肝機能障害では本症候群を鑑別にあげることが必要と考えられる。 |
索引用語 | Budd-Chiari症候群, 肝細胞癌 |