セッション情報 パネルディスカッション12(肝臓学会・消化器病学会合同)

ウイルス性肝炎と肝外病変

タイトル 肝PD12-10:

C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン・リバビリン併用療法と甲状腺機能障害

演者 奥瀬 千晃(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 四柳 宏(東京大・感染症内科), 鈴木 通博(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】甲状腺機能障害(TD)はC型慢性肝疾患(CHC)の肝外病変中最も頻度の高いものの一つであり、インターフェロン(IFN)療法の主要な副作用であるが十分に検討されていない。今回、ペグインターフェロン/リバビリン(2剤併用)療法におけるTDの詳細を検討した。【対象・方法】2012年3月までにCHC238例に対して甲状腺機能(TF)を測定した。このうち2剤併用療法を導入し、経時的TF測定が可能であった165例から治療前にTDを有していた12例(うち未治療例11例)を除く、153例(男:女=83:70、平均年齢53±13歳、血清型:1:2:判定不能=99:50:4)を対象とした。TSH、FT3、FT4、抗サイログロブリン(Tg)抗体、抗TPO抗体を経時的に測定した。TSHの異常を認めた場合TDと定義した。【結果】1)治療前の抗Tg抗体は44%(67/153)、抗TPO抗体は40%(61/153)が陽性であった。2)TDは28%(43/153)に出現し、その時期は1、3、6、9、12ヶ月、12ヶ月以降の終了時、終了3ヶ月後で、8、7、13、3、2、7、3例であった。3)機能低下症を34例、亢進症を9例に認めた。FT4異常を伴う顕性例は23例であったが、治療を要したのは3例のみであった。4)TDによる2剤併用療法脱落例はなかったが、精神症状により脱落した5例中3例にTDが出現していた。5)治療終了3ヶ月後にTDが回復したのは53%(20/38)であった。6)TD発症の治療前因子として、単変量解析において血清型1(p=0.0009、OR:0.1854、95%CI:0.07-0.51)が抽出された。7)治療前からTDを有した12例も治療完遂が可能であった。【結論】CHC の40%以上は抗甲状腺抗体陽性であり、2剤併用療法により28%にTDが出現した。IFN療法導入時にはTDを念頭に置いた慎重な観察が必要である。
索引用語 C型慢性肝炎, 甲状腺機能異常