セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-074:多発性肝転移および膀胱浸潤を伴った直腸癌の集学的治療 |
演者 | 片山 原子(JR東京総合病院 消化器外科) |
共同演者 | 平田 勝(JR東京総合病院 消化器外科), 赤松 雅俊(JR東京総合病院 消化器内科), 田中 弦(JR東京総合病院 消化器外科), 鈴木 信親(JR東京総合病院 消化器外科), 澤谷 哲央(JR東京総合病院 消化器外科), 小山 要(JR東京総合病院 消化器外科), 岡本 真(JR東京総合病院 消化器内科), 関 邦彦(JR東京総合病院 臨床検査科) |
抄録 | 【背景】大腸癌肝転移症例は、切除例における5年生存率は諸報告にて3割前後とされる。一方、切除不能進行大腸癌に対する化学療法は進歩し、MSTは3年ほどに達しているが、長期無再発生存は困難であり、切除可能例においては切除が第1選択である点に変わりない。また大腸癌肝転移に対する局所療法は、有効性の評価が定まらない現状である。膀胱浸潤および多発性肝転移を伴った直腸癌に対し、外科的切除,ラジオ波焼灼,化学療法にて、長期無再発生存を得ている症例を報告する。【症例】58歳男性。注腸造影と大腸内視鏡でRs-Rbにかけての3型癌腫、生検にて中分化型腺癌。術前CTで多発性肝転移の所見と、膀胱浸潤が示唆され、膀胱鏡で膀胱上皮に潰瘍形成を認めた。2006年10月30日手術所見では、腫瘍はRsからRbに浸潤性にひろがり、膀胱壁および前立腺への浸潤、左尿管周囲への浸潤を認め、腹会陰式直腸切断術,膀胱・前立腺部分切除(合併切除),prxD3施行。病理学的には膀胱浸潤を認めるものの前立腺への浸潤は認めず、リンパ節pN2(+)であった。総合進行度Stage IV. 多発性肝転移に対しては術後ラジオ波焼灼を施行し、その後TS-1/CPT-11を施行、当初高値であったCEA値が正常化し、術後3年1カ月経過にて無再発生存中である。【考察】当科における2003年-2008年に術中深達度SIの大腸癌で合併切除がなされた症例の成績は概ね良好である。当該期間の大腸癌切除例332例のうち、術中肉眼的膀胱浸潤は7例(2.1%)に認め、合併切除を行い、術後平均観察期間1430日において、6例(86%)は無再発生存中、1例(14%)で再発を認めたが生存中である。ただし、深達度は術中にoverestimateされる傾向を認め、肉眼的深達度と病理学的深達度に乖離が認められる傾向があった。【結語】深達度SIの大腸癌は、合併切除を行うことで長期生存が得られる可能性があり、可能な限り合併切除を行うことが推奨される。ただし、拡大手術の適応検討には慎重さを要する。大腸癌の切除不能肝転移に対する局所療法として、条件を満たした症例におけるラジオ波焼灼療法の有効性が示唆された。 |
索引用語 | 大腸癌肝転移, 大腸癌膀胱浸潤 |