セッション情報 パネルディスカッション13(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

チーム医療で提供する最善の肝臓病診療

タイトル 肝PD13-1指:

慢性肝疾患診療における多職種による肝臓病教室の意義の評価

演者 片山 和宏(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科)
共同演者 今中 和穗(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 大川 和良(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科)
抄録 【目的】慢性肝疾患の診療では、時として患者は適切な治療選択や治療の遂行が出来ていない。一因として、患者が必要な知識を有していないこと、治療に対する不安や不満を有していること等があげられる。2010年5月大阪で開催された読売新聞・ウイルス肝炎財団による市民公開講座「C型肝炎を治そう」で、449名から得たアンケート結果では、ペグIFN+レベトール治療者の50%、肝庇護治療者の55.1%がやや不満~不満を感じており、治療法に対する情報不足や説明不足を訴えていた。通常診療における患者への情報提供は不十分であると考えられ、医師の外来診療時間が短いこと、患者と身近に接する機会の多いコメディカルに肝臓病に関する知識が少ないなどの要因が考えられる。そこで多職種による患者への情報提供の意義を評価することを目的とした。【方法】1.情報提供の効果:2010年7月の肝臓病教室で参加者39名に対して、各治療法などに関する知識や治療意欲をアンケートし、数値化し解析した。2.チーム医療への効果:コメディカルによる診療補助の実態の評価した。【結果】1.IFN治療の関する知識の高さは治療意欲と有意の相関(r=0.41,p=0.02)を示したが、肝細胞癌に関する知識は、相関がみられなかった。教室の前後では、各知識とも有意に上昇した。2.教室参加コメディカルによる、ソラフェニブ投与症例での診察前皮膚チェックが開始出来、早期の皮膚状態の把握と介入が可能となった。また、患者への情報誌を作成し、随時患者へ手渡し、ネットからのダウンロードなど、病状説明が容易となるとともに、IFN病診パスへも応用できた。【結論】多職種による患者への情報提供は、患者の知識向上と治療へのモチベーションを高める可能性があり、またコメディカルの積極的な参画を促進し、肝臓病診療を向上させる可能性がある。今後、介入による具体的な治療導入率や服薬率などの指標を解析していく必要がある。また、それらを検討討議する土壌を作っていくことも重要と考える。
索引用語 肝臓病教室, 情報提供