セッション情報 シンポジウム2(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の最前線

タイトル 肝S2-2:

C型肝炎に対するPeg-IFN/RBV併用療法におけるIL28B遺伝子多型の意義

演者 平松 直樹(大阪大・消化器内科)
共同演者 小瀬 嗣子(大阪大・消化器内科), 竹原 徹郎(大阪大・消化器内科)
抄録 難治性C型肝炎に対してTelaprevirが保険認可され、さらにHCV酵素阻害剤が開発中であるが、多くはPeg-IFN/RBVをプラットフォームとするため、IL28B遺伝子多型(SNP)の治療効果に及ぶす影響は大きい。今回、C型肝炎に対するPeg-IFN/RBV併用療法の抗ウイルス効果ならびに発癌抑制効果予測におけるIL28B SNPの意義について検討した。対象は、OLF関連施設においてPeg-IFN/RBV併用療法を施行したgenotype1型C型肝炎645例(年齢:56.9±10.2歳、M/F=293/352、F0-2/3-4=425/83、血小板数:16.2±5.6x104/μl)である。肝発癌解析は、Log-rank 検定、Cox比例ハザードモデルを用いて検討した(平均観察期間:40.0±16.3ヵ月)。IL28B SNP(rs8099917)の頻度は、TT/TG/GG=486/146/13であった。 <抗ウイルス効果との関連>TT のresponse-guided therapy におけるSVR率は、58%(185/318)であり、 TG/GG20%(21/103)に比し有意に高率であった(p<0.001)。また、SVRに対する多変量解析(変量:性別/年齢/IL28B/coreアミノ酸変異/ISDR/HCV-RNA量/血球数/肝酵素/肝線維化)では、IL28B(p<0.001)、血小板数、線維化進展度が有意な独立因子であった。一方、治療4週時HCV-RNA減少率の因子を加えた解析では、IL28B は有意ではなく、4週時HCV-RNA減少率のみが有意な因子であった(p<0.001)。<発癌抑制効果との関連>肝発癌に関与する因子についての多変量解析における検討では、高齢、男性、血小板15万未満群、AFP5ng/ml以上群で有意に発癌率が高く、治療効果別では、NR群に比しRelapse群(p=0.036)、SVR群(p<0.001)では有意に発癌率が低率であったが、IL28B別の検討では発癌率に差を認めなかった(SVR群/Relapse群/NR群の累積5年肝発癌率: TT 0.7%/3.5%/8.6%、TG/GG 0%/0%/ 9.3%)。 <結語>IL28B SNPはPeg-IFN/RBV併用療法の治療前の強力な抗ウイルス効果の予測因子であるが、治療開始後には早期の治療への反応性を参考にする必要があるものと考えられた。また、Peg-IFN/RBV治療後の肝発癌にはIL28B SNPは関与しないことが示唆された。
索引用語 IL28B, C型肝炎