セッション情報 |
パネルディスカッション13(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
チーム医療で提供する最善の肝臓病診療
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タイトル |
肝PD13-4:肝硬変症例における入院経過中血清アルブミン濃度低下に対する栄養療法介入の検討
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演者 |
小川 聡志(公立八女総合病院・看護部) |
共同演者 |
永松 洋明(公立八女総合病院・肝臓内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】当院では看護師、栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカー、検査技師、医師、医療秘書による肝臓チームを結成し、肝臓教室を定期的に行っている。今回は、2011年10月より肝臓食を見直し、肝硬変の状況に応じた食事(代償性、非代償性、LES、肝性脳症に対応)を提供できるようになったため、以前の肝臓食(高カロリー、高タンパクのみ)と比較し入院中の栄養状態に変化があるかを検討した。【対象】2011年1月から2012年1月までの期間、当院肝臓病棟に入院した肝疾患患者369例のうち、肝硬変を有する242例(平均年齢71.7歳、Child Pugh A/B/C:84/87/71例、平均入院日数24.5日)を対象とした。【方法】2011年1月から2011年9月までの症例173例をA群、2011年10月から2012年1月までの症例69例をB群とした。以前の検討で入院時から血清アルブミン濃度が20%以上低下(ALB20)すると腹水貯留の危険性が増加することから、症例全体においてALB20に関連する因子をロジスティック回帰分析を用いて年齢、グループ(A/B)、入院日数、治療内容、BCAA製剤有無、食事内容など16項目で多変量解析を行った。またA群、B群においてALB低下率、ALB20に差があるかを対数線型分析を用いて比較検討した。【結果】全体の症例でアルブミン低下率11.7%、ALB20は36例(14.8%)であった。ALB20に関連する因子は入院時ALB(P<0.01)、治療内容(P=0.004)入院日数(P=0.01)であった。ALB低下率はA群/B群:12.1/10.7%、ALB20はA群/B群:29例(16.8%)/7例(10.1%)とB群が数値的には優れていたが、有意差はみられなかった(P=0.232)。【結論】入院中ALBを維持するためには入院期間を短縮化させる治療計画が必要であると考えられた。また今後ALB低下率をさらに改善させるため、肝機能に応じた食事を患者に十分理解して頂き摂取率をあげていく必要性がある。そのためには医師、看護師、栄養士などが一体となった治療計画、栄養管理が重要であると考えられた。 |
索引用語 |
肝硬変, 栄養療法 |