セッション情報 パネルディスカッション13(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

チーム医療で提供する最善の肝臓病診療

タイトル 肝PD13-6:

院内及び院外における肝臓病教室の取り組み

演者 原 なぎさ(三重大附属病院・栄養指導室)
共同演者 岩佐 元雄(三重大大学院・消化器内科学), 竹井 謙之(三重大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】C型慢性肝炎及び非アルコール性脂肪性肝疾患に対する鉄・脂肪制限食、肝硬変(LC)に対する分岐鎖アミノ酸製剤を用いた栄養療法など、肝疾患は病態の変化に応じた栄養管理が必須であり、我々は長期継続して栄養指導を行ってきた。一方、肝臓病栄養療法においてもチーム医療が重要な事から、2004年、情報提供、診療の効率化等を目的に「肝臓病教室」を開始、2006年、志摩市とタイアップし、志摩観光ホテルにおいて「一流シェフが作る治療食ツアー」を、さらに2009年、実際に治療食を調理・試食しながら質疑応答を重ねていく「肝臓病治療食教室」を開講した。今回、これらチーム医療による肝臓病栄養療法が患者に与える影響を検討する目的で、アンケート調査を行い、さらに予後に及ぼす影響についても検討を加えた。【対象と成績】「肝臓病教室」では、毎回テーマに則し、医師・管理栄養士・薬剤師・看護師が講義を行い、その後質疑応答やグループディスカッションを行っている。年6回施行、総開催数35回であり、開始前73%が「IFNは怖い」と答えていたのに対し終了後は44%に減少し、93%が「次回も教室に参加したい」と答えた。鉄制限食ツアーのアンケートによる評価は概ね良好であった。「肝臓病治療食教室」の総開催数は8回、延べ参加人数94人であり、92%が満足と回答した。これらのチーム医療により、C型肝炎に対する鉄制限食の有効性、LCに対する栄養療法、LESの効果を報告してきたが、今回、さらに肝癌を合併していないLC58例を平均3.2年間経過観察を行ったところ、肝臓病教室に複数回参加したLC群の生命予後は有意に良好であることが判明した(P<0.05)。【結論】これらチームによる肝臓病栄養療法は、肝疾患の情報を提供する場に留まらず、参加者の主体的な学習意欲を高め、モチベーションを高める契機となり、予後の改善に寄与している事が示唆された。今後、肝臓病教室で培ったノウハウを活用しながら医療従事者研修会の開催やクリニカルパスによる病診連携の拡充を図る必要がある。
索引用語 肝臓病教室, 鉄制限食