セッション情報 パネルディスカッション13(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

チーム医療で提供する最善の肝臓病診療

タイトル 肝PD13-7:

クリティカルパスを活用した肝臓病チーム医療の実践

演者 杉 和洋(国立熊本医療センター・消化器内科)
共同演者 中田 成紀(国立熊本医療センター・消化器内科), 尾上 公浩(国立熊本医療センター・消化器内科)
抄録 肝臓病診療が高度かつ煩雑になるにつれ、医師による医療行為以外に、生活、服薬あるいは栄養指導・管理、さらには医療費助成手続きや病院経営管理など多職種による役割分担と相互の連携が重要になってきている。クリティカルパス(パス)は関係する職種スタッフの共同作業により作成された診療・看護・リハビリテーションなどの時系列の計画書であり、医療の標準化とともにチーム医療の向上にも効果がある。パスの作成・見直しにあたっては、医師、看護師、薬剤師、栄養士、検査技師のみならず医療ソーシャルワーカーや医事課職員等、関連職種の共同作業が求められる。当院では1998年よりパスを導入し、2006年に紙ベースから電子化へ移行した。現在ではパスを作成した場合には院内パス研究会で紹介され、一定期間の使用後にはパス検討会で見直しが検討される。この際、論理性、EBM的な妥当性、バリアンス、ベンチマークとしてのDPC解析データ等に関して、各職種代表が一堂に会し検討する。この結果、より完成度の高いパスへ改訂され、良質の医療が提供される。肝臓病に関しては、入院パスとして肝動脈塞栓術、ラジオ波焼灼療法、肝生検、インターフェロン療法や内視鏡的食道静脈瘤治療等をすでに運用しているが、2008年より外来パスとして肝炎インターフェロン地域連携パスを活用している。連携パスは診療計画・記録としてだけではなく、生活指導、服薬指導や栄養指導のツールを兼ねており、チーム医療を行う上での情報共有のツールとなっている。さらには院内のみならず、連携パスを活用することでかかりつけ医との医療連携を構築し、テラプレビル治療においては皮膚科連携パスを活用している。これにより後方連携のみならず前方連携が構築され、かかりつけ医との顔の見える勉強会を通じて地域医療機関におけるチーム医療の向上がもたらされている。当院でのパスを用いた肝臓病チーム医療の実践を紹介する。
索引用語 クリティカルパス, チーム医療