セッション情報 パネルディスカッション13(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

チーム医療で提供する最善の肝臓病診療

タイトル 肝PD13-9:

広島大学病院での肝疾患患者に対するチーム医療の現況

演者 高橋 祥一(広島大病院・消化器・代謝内科)
共同演者 大段 秀樹(広島大大学院・先進医療開発科外科学), 茶山 一彰(広島大病院・消化器・代謝内科)
抄録 【目的】慢性肝炎,肝硬変,慢性肝不全に対する肝移植治療においては,医師,看護師,薬剤師,栄養士,理学療法士,医療相談員(MSW)などによるチーム医療が不可欠である.今回当院でのチーム医療の現況について検討した.【方法】1)肝臓病教室,2)肝疾患相談室,3)肝移植治療における各職種の連携状況を,過去の実施状況を振り返り,また出席者アンケートの結果を踏まえて検討した.【成績】1)肝臓病教室:平成23年度から新規に立ち上げ,年7回(C型肝炎2回,B型肝炎,肝硬変,肝がん,脂肪肝,肝移植)開催した.毎回肝臓専門医による講義の後,疾患によって看護師(3回),薬剤師(5回),栄養士(2回),理学療法士(3回),移植コーディネーター(1回),MSW(5回)のミニレクチャーを適宜行った.参加者は30-40人.平日の午後に開催しているが,講義内容のレベル設定(患者によっては内容が平易すぎる)と教室開催の周知不足がアンケートから判明した.2)肝疾患相談室:平成20年の開室以来,年間1000-1400件の相談業務を行っている.常勤は看護師1名,事務員1名,専門相談は当院の肝臓専門医が併任している.肝疾患の診断と治療,検査結果の解釈,公費助成と訴訟に関する内容が多かったため,医師,看護師,MSWで対処できたが,栄養管理,運動や薬剤など,他の職種の応援を確保した上で,幅広い分野での相談・質問を受け入れる体制を構築すべきであった.3)肝移植治療:肝移植は移植外科医,肝臓内科医のみならず,放射線科医,胆膵内科専門医,看護師,薬剤師,栄養士,検査技師,理学療法士,輸血部,MSWなど,多くの職種の協力なくしては成立し得ない,究極のチーム医療といえる.日頃からの協力体制の確立が重要である.【結論】肝疾患患者に対するチーム医療は,日常の診療や啓蒙活動から肝移植に至るまで様々な局面で重要であり,他業種のスタッフの参加の機会がもっと増えるよう,医師側から働きかけることが,チーム医療の充実につながると思われた.
索引用語 チーム医療, 肝臓病教室