セッション情報 パネルディスカッション13(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

チーム医療で提供する最善の肝臓病診療

タイトル 肝PD13-11:

チーム医療で求められる病診連携の地域差~連携開業医へのアンケートから~

演者 板倉 潤(武蔵野赤十字病院・消化器科)
共同演者 大崎 往夫(大阪赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】チーム医療の中心は患者とその家族だが、治療・合併症予防、併存疾患治療の決定は医師が主体となる必要がある。かかりつけ医と専門医の緊密な連携が求められるが、多彩な問題がある。今回B型・C型肝炎に関して全国の赤十字病院の協力で連携先アンケートを行い、病診連携の実態について、特に地域事情に基づく問題について検討を行った。【方法】全国45赤十字病院の協力により各連携先にアンケートを配送、回収した。医療資源の少ない地域から大都市まで4群に分け解析を行った。【結果】3344件配送、2058件回収、回収率61.5%、73件未記入のため1982件で解析を行った。連携先は86%が内科で、80%が平均患者数100人/日以下の施設だった。ウイルス肝炎検診は78%で継続、21%で中止されていた。医療資源の少ない地域では近隣基幹病院まで距離が遠く、基幹病院数も少なかった。B型・C型肝炎陽性者数に地域差はなかった。陽性者への対応は医療資源の少ない地域は自院精査率が高く、大都市は基幹病院紹介率が高かった。C型肝炎のIFN治療を勧めない理由は年齢が挙げられたが、他に医療資源の少ない地域では専門医までの距離が、大都市では副作用への不安が挙げられた。大都市ほど連携パスが存在したが、使用率はどの地域でも20%以下であった。医療資源の少ない地域では肝疾患勉強会開催数が少なかった。医療費助成制度を知らない施設が11%みられた。専門医へ求める役割はIFN治療効果判定、副作用管理が、かかりつけ医の役割は副作用の早期発見と併存疾患管理が地域によらず挙げられた。IFN投与は専門医・自院施行いずれも50%であった。【結論】基幹病院への距離が遠いほどかかりつけ医の診療内容は増え、専門医との連携が困難になりやすいと考えられた。大都市では連携はとりやすいが、専門・かかりつけ医それぞれの役割を摺合せする必要があり、不安感への対処が必要と考えられた。これらの対処には、それぞれの地域事情をふまえた連携パスの整備が必要と考えられた。
索引用語 病診連携, ウイルス肝炎