セッション情報 パネルディスカッション13(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

チーム医療で提供する最善の肝臓病診療

タイトル 肝PD13-12:

肝がん死亡率日本一の汚名返上ための佐賀県肝疾患診療ネットワーク―県、市町、医師会、マスメディア、そして市民と一丸となったチーム医療

演者 江口 有一郎(佐賀大・肝疾患医療支援学)
共同演者 尾崎 岩太(佐賀大保健管理センター), 宮崎 耕治(佐賀大附属病院)
抄録 【背景】佐賀県は肝がん粗死亡率12年連続全国一位で、一因として肝炎ウイルス検査受診および精密検査受診率、医療連携、県民に対する情報発信などの未熟さが明らかとなった。汚名返上のため本学に県による寄附講座が設置され、肝疾患センターの運営を開始した。【活動】1)肝炎コーディネーター(Co)の養成:肝炎ウイルス検査・精密検査受診率向上のため県全域に保健師、看護師、MSW、行政、健診機関の医療職からなる135名のCoを配置。地域循環・完結型の連携推進およびスキルの維持のために、専門医療機関の専門医およびCoによる地域のかかりつけ医・薬剤師・看護師・市町保健師を対象とした県内循環の「顔が見える研修会」を実施し、その活動はFacebook等も活用しリアルタイムな情報発信を行っている。2)行政および肝疾患診療ネットワーク全280医療機関を対象とし県統一データベースの登録を開始:県下すべての肝炎ウイルス陽性者と診療データ、抗ウイルス助成・治療結果をICTを利活用し連結可能な匿名化による仮想パスとして再構成し、市町保健師、かかりつけ医による未治療者の拾い上げを開始。3)地域完結型連携推進ため肝炎専用診療情報提供書、診療ガイド、県下統一肝炎手帳配布を開始した。【医療者の枠を越えたチーム構成】若年者の肝疾患に対する情報啓発、肝炎ウイルス検査受診率向上のため、これまでの「集める」啓発から「集まりに出向く」啓発活動、出張肝炎ウイルス検査を開始した。その活動計画は県健康増進課と肝疾患センターがリアルタイムに情報共有・協議を行い、県・市町の健康増進部署、地域肝炎Co、友の会、保険者と一体となって実施、さらに県内の新聞、テレビ等のマスメディアと連携し、肝がん対策の重要性を共有することで、実効性が期待される継続的な情報発信を行っている。【結語】ヒューマンネットワークによる地域ぐるみの連携システムは肝疾患診療連携の推進に不可欠である。
索引用語 チーム医療, 地域医療連携