セッション情報 パネルディスカッション14(消化器病学会・肝臓学会合同)

急性肝不全:新たな定義とこれに準拠した診療の展望

タイトル 消PD14-5:

当院における急性肝不全症例の臨床的検討

演者 山崎 勇一(群馬大大学院・病態制御内科学)
共同演者 佐藤 賢(群馬大大学院・病態制御内科学), 柿崎 暁(群馬大大学院・病態制御内科学)
抄録 【目的】過去8年間に当院で経験した急性肝不全症例について臨床的に検討したので報告する。【対象及び方法】 2004年から8年間に経験した急性肝不全症例14例の患者背景、成因、治療内容、救命率について検討した。【結果及び考察】 14例の内訳は男性9例、女性5例、年齢中央値は58(0-81)歳。急性肝炎重症型が1例、劇症肝炎が11例、そのうち5例が急性型、6例が亜急性型、遅発型肝不全(LOHF)が2例であった。成因としては薬物性が6例、43%と多く、B型肝炎ウィルスが4例、自己免疫性、ヘモクロマトーシスが1例ずつ、成因不明が2例であった。薬物性の原因薬物は抗がん剤、解熱鎮痛剤が2例ずつ、抗真菌剤、糖尿病治療薬が1例ずつであった。B型肝炎ウィルス4例のうち、急性感染1例、キャリア発症1例、de novo肝炎2例であった。全例集中治療室に入室し、入室期間中央値は6.5(1-29)日であった。治療内容として血漿交換は13例に施行され、治療回数中央値は5(1-10)回であった。ステロイドパルス療法は9例(64%)に、持続性血液濾過透析(CHDF)は8例(57%)に施行され、CHDFの治療回数中央値は12(2-24)回であった。核酸アナログ製剤はB型肝炎ウィルス4例の全例に使用された。生体肝移植は4例(29%)に施行され、薬物性、B型肝炎ウィルス、自己免疫性、成因不明が1例ずつであった。救命は4/14例、29%であった。薬物性が3例、自己免疫性が1例であった。薬物性3例のうち、2例が劇症肝炎急性型、1例が急性肝炎重症型であった。劇症肝炎・LOHF全国調査集計結果(2009年)では成因としてB型肝炎ウィルスが41%と最も多く、薬物性が17%であったが、当院では薬物性が43%と最も多かった。当院の救命率は全体で29%と全国集計の44%と比較して低かったが、薬物性は50%と全国集計の25%より良好であった。【結語】過去8年間に当院で経験した急性肝不全は薬物性が46%と全国集計より多く、救命率は薬物性では50%と比較的良好であった。
索引用語 急性肝不全, 劇症肝炎