セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 6:内視鏡的に整復しえた胃軸捻転症の1例 |
演者 | 橋口 慶一(聖フランシスコ病院 内科DELIMITER長崎大学病院 消化器内科) |
共同演者 | 山崎 和文(聖フランシスコ病院 内科), 竹島 史直(長崎大学病院 消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科) |
抄録 | 胃軸捻転症は小児に好発する疾患で成人発症例は比較的まれである。われわれは高齢女性に発症し、内視鏡的整復が可能であった胃軸捻転症を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 症例は70歳の女性。リウマチを指摘されたことがあるも特に通院治療をしていない。2009年7月13日に旅行先で夕食後に心窩部痛・嘔気が出現した。症状軽快せず、近くの救急センターへ搬送された。腹部CTで急性胃拡張と左水腎症を指摘された。胃管挿入、減圧で約600mlの排液があり症状軽快したため帰宅の方針となった。翌日に長崎へ戻り当院受診した。症状なく待機的に7月17日に上部消化管内視鏡を施行し、胃角小弯に潰瘍瘢痕を認めた。半年後にCTフォローされるも左水腎症のみであった。 その後、特に変わりなかったものの2010年6月3日に突然の嘔吐が2回あり。6月4日より心窩部痛・嘔気あり、症状軽快しないため6月5日に近医を受診した。腹部単純X線で胃拡張を認めたため当院紹介入院となった。胃管減圧では症状改善乏しく6月7日上部消化管内視鏡を施行したところ、食道裂孔ヘルニアを認め体部以下の強い屈曲があり幽門輪が確認できず、CT所見・上部消化管X線検査所見と併せ短軸性の胃軸捻転症と診断した。6月9日に透視下に内視鏡的整復を試みたところ、α-loop法で整復が可能であった。その後、食事開始後も再発なく経過し6月11日退院となった。退院後の上部消化管X線検査では、胃穹隆部と体上部の移行部にくびれを認め、胃角小弯の短縮と開大を認めた。 成人における胃軸捻転症の要因として、胃下垂・瀑状胃などの位置異常や胃運動機能の亢進状態などを原因とする特発性のものと、横隔膜ヘルニアや傍食道裂孔ヘルニア、胃癌や無脾症候群・遊走脾などを原因とする続発性のものがある。本症例は左水腎症を伴っており、胃の周辺臓器にみられる異常が発症に関与した続発性の症例と思われた。また、本症例は幸いにも内視鏡的な整復が可能であったが、今後も再発を繰り返せば外科的な手術も検討すべきと考えられた。 |
索引用語 | 胃軸捻転症, 内視鏡的整復 |