セッション情報 専修医発表(卒後3-5年)

タイトル 専58:

全身性エリテマトーデス(SLE)に合併した重症膵炎の一例

演者 四本 かおる(福岡大学消化器内科)
共同演者 西澤 新也(福岡大学消化器内科), 阿南 章(福岡大学消化器内科), 久能 志津香(福岡大学消化器内科), 福永 篤志(福岡大学消化器内科), 櫻井 邦俊(福岡大学消化器内科), 岩下 英之(福岡大学消化器内科), 平野 玄竜(福岡大学消化器内科), 上田 秀一(福岡大学消化器内科), 森原 大輔(福岡大学消化器内科), 横山 圭二(福岡大学消化器内科), 竹山 康章(福岡大学消化器内科), 坂本 雅晴(福岡大学消化器内科), 入江 真(福岡大学消化器内科), 岩田 郁(福岡大学消化器内科), 釈迦堂 敏(福岡大学消化器内科), 早田 哲郎(福岡大学消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学消化器内科)
抄録 症例は22歳女性。平成15年に蝶形紅班・微熱・多発関節痛・レイノー症状が出現し、SLEと診断され副腎皮質ステロイドと免疫抑制剤を開始された。以後、外来にて継続加療され、平成21年12月の時点ではプレドニン5mg、プログラフ3mgを内服中であった。12月上旬より右側腹部から心窩部にかけての疼痛と嘔吐が出現し当院を受診。来院時は体温:39.1℃、血圧:130/80 mmHg、脈拍:129回/分、呼吸数:22回/分であった。血液検査ではWBC:19000/μl、CRP:9.0mg/dl、Amy:632 U/l、トリプシン:2769 ng/ml、リパーゼ:398 IU/l、エラスターゼ1:1300 ng/dlと炎症所見の上昇と膵酵素の上昇を認めた。腹部造影CT検査では膵が全体的に腫大し、体尾部に造影不良域を認め、膵周囲から腎下極を超える範囲にfluid collectionを認めた。重症急性膵炎(A:予後因子1点(SIRS)、B:造影CT Grade3)と診断した。直ちに絶食とし、輸液・抗生剤(IPM/CS)・蛋白分解酵素阻害剤の投与を開始した。膵炎の原因として胆石やアルコール歴はなく、自己免疫性膵炎も疑われたがIgG4:5.4mg/dlと正常であり、MRCPでも主膵管に有意な所見はみられなかった。また、免疫抑制剤(タクロリムス)による薬剤性膵炎も疑い入院後は内服中止したがDLSTでは陰性であった。基礎疾患にSLEを有していることよりSLE膵炎を疑いプレドニンの増量(80mg/day)を行ったところ、速やかに腹部症状・画像所見ともに改善し、入院41日目に退院となった。SLEに合併する膵炎はまれであるとされるが、その他の膵炎の誘因がなく、SLEが基礎疾患にある場合にはSLE膵炎を念頭におき、治療する必要があると考えられる。今回SLEに合併した重症膵炎を経験したので報告する。
索引用語 SLE, 重症膵炎