セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研61:原発性硬化性胆管炎に合併した若年発症の肝内胆管癌の一例 |
演者 | 梶村 慈(長崎大学病院 消化器内科) |
共同演者 | 三馬 聡(長崎大学病院 消化器内科), 赤司 太郎(長崎大学病院 消化器内科), 三根 祥一郎(長崎大学病院 消化器内科), 山口 東平(長崎大学病院 消化器内科), 福田 祥子(長崎大学病院 消化器内科), 大谷 正史(長崎大学病院 消化器内科), 松崎 寿久(長崎大学病院 消化器内科), 村岡 徹(長崎大学病院 消化器内科), 本田 琢也(長崎大学病院 消化器内科), 宮明 寿光(長崎大学病院 消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院 消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院 消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院 消化器内科), 黒木 保(長崎大学病院 移植消化器外科), 兼松 隆之(長崎大学病院 移植消化器外科), 安倍 邦子(長崎大学病院 病理部), 林 徳真吉(長崎大学病院 病理部), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科) |
抄録 | 症例は23歳男性。1993年に潰瘍性大腸炎、2004年1月に原発性硬化性胆管炎と診断され、ウルソデオキシコール酸900mg/日内服にて加療を行いAST40 IU/ml、ALT60 IU/ml、ALP600 IU/ml前後で推移していた。2010年3月よりCRP1.0 ~5.0mg/dlと上昇傾向を示していたが発熱や腹痛等の所見はみられなかった。6月8日、スクリーニングMRI検査施行し、肝左葉外側区に径10×5cmのT1W1低信号、T2W1高信号を示す内部胆管拡張を伴う腫瘤形成あり。肝左葉外側区域腹側、左胃動脈~腹腔動脈周囲のリンパ節腫大も認められた。精査加療目的にて、6月15日当科入院。血液検査は、AST 37 IU/ml、ALT 41 IU/ml、ALP 864 IU/ml、腫瘍マーカーはCEA 703 ng/ml、CA19-9 24884 U/mlと著明な上昇が認められた。ERCPでは、pruned-tree appearanceとともに、左胆管は約7cmにわたり狭窄し、造影不良、同病変より末梢の胆管拡張が認められた。stage IVa肝内胆管癌と診断され、当院移植消化器外科転科となり、7月9日、肝左葉、尾状葉、及びリンパ節郭清術施行。腫瘍は他臓器浸潤、腹膜播種の所見は認められなかったが、肝、及び胃周囲、胸部までにおよぶ広範なリンパ節転移を伴っていた。組織学的には、腫瘍は一部粘液産生癌を伴う高~中分化腺癌の所見であり、背景肝は胆管周囲の繊維化、リンパ球や形質細胞、好酸球を交えた炎症細胞の浸潤を伴った原発性硬化性胆管炎の所見であった。原発性硬化性胆管炎に胆管細胞癌を合併することはよく知られており、その発症年齢は40~50 歳前後と一般より若年であることが報告されている。本症例の発症年齢は23歳でありさらに若年での発症であった。20歳代前半の胆管細胞癌症例の報告は本邦ではほとんどなく希少であると考えられ、若干の文献学的考察とともに報告する。 |
索引用語 | 若年性, 胆管癌 |