セッション情報 一般演題

タイトル 117:

化学療法導入後に癌性リンパ管症を認めた肝内胆管癌の一例

演者 津田 康雄(九州医療センター)
共同演者 福嶋 伸良(九州医療センター), 岩田 真悠子(九州医療センター), 門屋 一貴(九州医療センター), 大橋 朋子(九州医療センター), 光安 彩(九州医療センター), 吉本 剛志(九州医療センター), 国府島 庸之(九州医療センター), 河邊 顕(九州医療センター), 水谷 孝弘(九州医療センター), 福泉 公仁隆(九州医療センター), 原田 直彦(九州医療センター), 中牟田 誠(九州医療センター)
抄録 【背景】肝内胆管癌は近年徐々に増加傾向にあるが、癌性リンパ管症の合併の報告は文献検索上非常に少ない。我々は肝内胆管癌に対する化学療法導入後の経過中に癌性リンパ管症を認めた症例を経験したので報告する。
【症例】82歳男性。腹部大動脈瘤手術後の経過観察目的で近医にて心エコー施行中、肝内腫瘍を指摘され当科紹介受診。精査加療目的で入院となった。腹部エコー上肝左葉全体をほぼ占拠する腫瘍を認め、腹部造影CTでは同部位の腫瘍はring状濃染を呈し、肝内胆管末梢の拡張を伴っていた。また胸部CTで転移巣と思われる小結節を複数散在性に認めた。上下部消化管内視鏡で有意な所見無く、またCT上回盲部左側に嚢胞性病変認めるが悪性所見に乏しく、PET-CTでも集積は肝内腫瘍のみであった。肝腫瘍生検でadenocarcinomaの結果であり、肝内胆管癌と診断した。C型およびB型肝炎ウイルス陰性で飲酒歴も無く、肝機能も十分保持されていた。高齢ではあったが全身状態良好であり、2010年4月8日よりGemcitabin + TS-1による化学療法を開始した。しかし貧血進行、TS-1による皮疹出現を認め、また1クール終了後のCTで腫瘍増大しており、レジメン変更を決定し、5月28日にGemcitabin + CDDPを投与した。投与翌日SpO2軽度低下、胸写上軽度心拡大および体重増加を認めたため、当初は抗癌剤投与に伴う輸液負荷による心不全と判断し、利尿剤増量や酸素投与を行った。しかしその後の心エコーで心機能低下を認めておらず、胸部CTおよび肺血流換気シンチで肺梗塞を示唆する所見も認めなかった。胸部CT上両肺で気管支血管側の軽度腫大および小葉間隔壁の軽度肥厚が見られ、癌性リンパ管症と考えられた。本人家族と相談のうえBest supportive careの方針となり、緩和ケア病院を紹介のうえ、5月1日当科退院となった。
【結語】胆管細胞癌の経過中に呼吸機能低下が見られた場合、癌性リンパ管症の有無を十分考慮する必要がある。
索引用語 肝内胆管癌, 癌性リンパ管症